仕事がうまく回り出す!公務員の突破力

安部浩成

【仕事がうまく回り出す!公務員の突破力】 改革した方が楽になると気づかせる

NEW地方自治

2021.01.04

仕事がうまく回り出す!公務員の突破力

【新刊紹介】スーパー公務員でなくても大丈夫! 誰でもムリなく現状突破できるスキルが身につく!

『仕事がうまく回り出す! 公務員の突破力』安部浩成/著)

(株)ぎょうせいは令和2年12月、『仕事がうまく回り出す! 公務員の突破力』(安部浩成/著)を刊行しました。「仕事に行き詰まった…」「現状を変えたい…」など、職場環境にある問題にかぎらず、税収や人口減といった社会情勢など、さまざまな要因が重なって、いまひとつ現状を打開できないという感覚に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで求められる「公務員の突破力」について、理論となる考え方や具体的な進め方も含めてわかりやすく解説した1冊です。ここでは、Chapter2:「突破力」をどう養うかより「改革した方が楽になると気づかせるを掲載します。ぜひ業務のご参考にしていただけますと幸いです。(編集部)

「北風と太陽」

 上司から改革・改善の検討を求められたときに、できない理由ばかりたくさん探して並べ立てた経験はないだろうか。人は、他人から「改革・改善せよ」と言われると、かえって現状維持のための理屈を探してしまう哀しい生き物なのである。しかし、これでは課題の放置・先送りとなり、現状を突破することはできない。この結果、効率の悪い、住民ニーズが低下した業務を継続することとなる。

 しかし、実は、担当者自身が、面倒くささを痛感し、また、住民への後ろめたさも漠然と感じている。そう、担当者こそが課題に気づいているものなのである。

 そこで、「仕事上で面倒くさいと思っていることはない?」と問い掛け、「それをやりやすいように変えたらどうだろう」、と促してみよう。

 私はこれを「北風と太陽」にたとえている。上から改革風をびゅうびゅう吹かせると、人はコートをはがされまいとかえってガードを固くする。しかし、あなた自身のためにも改革した方が楽になるよ、と言えば自ら進んでコートを脱ぐ。

アプローチの一例

 一例を挙げよう。あなたの係では、何か広報紙(誌)を発行しているだろうか。最近、雑誌の廃刊や書店の閉店が相次いでいる。また、新聞発行部数は低下の一途である。これは、人々の情報を得る手段が紙媒体から電子媒体へと移行したことが大きい。さらに、一般に、印刷物を作成し、これを配布することは、電子媒体で情報を提供することよりもコストがかかるとともに、紙資源のロスにもつながる。もちろん、電子媒体の閲覧は見る側の好みによって選考されるため、プッシュ型の情報提供である紙媒体の配布にメリットがないわけではない。このため、一概にどちらが優れているとはいえず、要は費用対効果の問題である。しかし、その広報紙(誌)が、配布用ラックでたなざらしになっている、あるいは各戸配布しても読まれることなく捨てられているのが実態だとすれば、それは無駄な仕事をしていることとなり、貴重な財源の無駄遣いとなる。

 このことに気づいた上司から担当者に対する一般的なアプローチは、広報紙(誌)の見直しを指示することであろう。既に突破力が養成されている部下であれば、直ちに意図を理解し、在り方を比較検討し、最善策をプランニングできる。しかし、突破力が未熟な部下は、どう見直したらよいか途方に暮れるか、自分の仕事が否定されている、または奪われると勘違いしてしまう。

 こうした部下に対しては、「北風と太陽」の太陽で臨むことが、突破力養成に有効といえるだろう。アプローチの一例である。

上司「いつも○○だよりを作ってくれてありがとう。ところで、○○だよりって隔月発行だけど、よくネタが出てくるなっていつも感心してるんだ【※1】。ネタはどうやって考えているの?」

部下「実はネタ切れでいつも困っているんです」

上司「そうか、苦労してるんだね【※2】。ネタ切れってことは、もしかして、これまでの〇〇だよりの効果が出て、既に世の中が、創刊当時に行政として導きたかった未来に到達したってことかもしれないね」

部下「そんなこと考えたこともありません【※3】

上司「隔月で発行することでいっぱいいっぱいだったものね、無理もないよ。読者からの反響は来てるのかな【※4】

部下「ありません」

上司「なるほど。では、ネタ作りと発行作業に追われてしまっている自分を解放してもいい時期かもしれない。実はこの前、市役所入口の広報紙(誌)配布コーナーを通りかかったら、1年前に発行した号が結構残っているのを見たんだ【※4】。せっかく一生懸命頑張って作ってくれているのに、もったいないよね」

部下「悲しいですね」

上司「そういえば、雑誌も結構廃刊になっているよね。あなたは普段知りたい情報ってどう
やって得てる?」

部下「専らスマホですね【※5】

上司「人々が情報を得る手段が変わってきたのかもしれないね。そうしたら、在り方を見直してみようか。もう必要性が希薄化してきているようであれば、廃止もあり得るよね。まだ必要性が残っているようであれば、ホームページやSNSで発信するって手もある。どちらの結果になっても責任は係長である私がとる【※6】から、まずは近隣自治体がどうしているか、調べてみようか【※7】

 この会話例におけるポイントは次の7点である。

【※1】第一に、まずは、何はともあれ謝辞を述べ、リスペクトしていることを明確に伝えることである。
【※2】第二に、共感することである。
【※3】第三に、事業とは本来、何かしら成果を生むための手段であるはずが、事業を実施すること自体が目的化していることへの気づきを促すことである。
【※4】第四に、ニーズが低下していることへの気づきを促すことである。
【※5】第五に、時代の変化への気づきを促すことである。
【※6】第六に、責任の所在を明確化することにより、部下が不安を抱えることなく自由に動けるようにすることである。
【※7】第七に、突破口を示唆することである。

 そして、賢明な読書の皆さんはおわかりであろう、本当の突破力を備えた上司は、既に近隣の自治体では廃止している、または電子媒体による発信に切り替えていることを、あらかじめ調査しておくのである。

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安部浩成

安部浩成

千葉市中央図書館長/元市町村アカデミー教授

1969年生まれ。明治大学政治経済学部卒業。1993年千葉市役所に入庁。税務課、保健医療課、都市総務課、教育委員会企画課、行政管理課、総務課、政策法務課、障害者自立支援課などを経て、人材育成課課長補佐、業務改革推進課行政改革担当課長、人材育成課担当課長、海辺活性化推進課長などを歴任。2019年より現職。厚生省(当時)や千葉大学大学院、市町村アカデミーへの派遣を経験。市町村アカデミーでは教授として、講義や研修企画等を通じた人材育成に携わる。人材育成と行政改革がライフワーク。著書に、『はじめて部下を持ったら読む 公務員のチームマネジメント』(学陽書房)、『市町村職員研修 いちからわかる! 地方公務員仕事のきほん』(共著、ぎょうせい)、雑誌寄稿に「新任昇任・昇格者の行動力」(月刊『ガバナンス』2020年3月号)ほか。

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