霞が関情報「地方財務」2020年9月号(ぎょうせい)
地方自治
2021.01.12
※2020年8月時点の内容です。
霞が関情報
(「地方財務」2020年9月号)
公務災害認定は16件(人事院)
人事院は、一般職の国家公務員の過労死などの公務災害補償状況(2019年度)を公表した。脳・心臓疾患と精神疾患を合わせて16件(前年度6件)が公務上の災害として認定された。このうち6人は死亡している。超過勤務時間をみると、亡くなった全件で「過労死ライン」とされる月80時間を超えており、原因は超勤とみられる。
認定された事案のうち、脳・心臓疾患は3件(前年度2件)で死亡は2人、年齢は50~59歳。精神疾患は13件(同4件)で死亡は4人、年齢は30~39歳が2人、40~49歳と50~59歳がそれぞれ1人ずつだった。
脳・心臓疾患で死亡した2人はいずれも月平均の超勤時間は100時間以上だった。精神疾患では、80時間以上~100時間未満と、100時間以上~120時間未満がそれぞれ1人。140時間以上が2人だった。
国家公務員の超勤は、人事院規則で上限を原則月45時間、年360時間と定められている。国会対応や国際関係、法令協議、予算折衝などに従事し、業務量や時期が「他律的」に決まる比重が高い部署に関しては、月100時間未満、年720時間・2~6か月平均80時間の範囲内で必要最小限の超勤が認められている。
選択と集中で報告書(環境省)
環境省の「『選択と集中』実行本部」は、職員の働き方改革などに関する報告書をまとめた。ポイントは▽既存業務の徹底的な見直し▽脱炭素社会・循環経済・分散型社会への「3つの移行」への集中▽これらを実現するための働き方改革と組織体制強化──の3点。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた働き方改革として、一時的だったテレワークの頻度や対象、手続きを通常ルール化して継続するアクションなどを掲げた。同省は、2021年度予算の概算要求に具体的な取り組みを盛り込む他、1年後に実施状況をフォローアップする予定だ。実行本部は、環境相直属として今年1月に設置、職員約70人が参加し、議論してきた。
報告書は、業務の見直しとして予算と業務の合理化・効率化を掲げた。具体的には、5年以上継続しているモデル事業など(エネルギー対策特別会計予算事業のうち約450億円など)は、原則として今年度限りで廃止したり見直したりするとした。その上で、新たな重点分野に振り替える。
また、長時間の超過勤務の要因となりやすい国会対応について、国会答弁の作成プロセスで必要となるすべての作業を、一元的に扱うシステムの導入を検討するよう求めた。
働き方改革として、テレワークの他、可能な限りすべての審議会をWeb会議としたり、リゾート地といった旅行先で休暇中に仕事に取り組む「ワーケーション」を職員自ら率先して実践したりするよう促した。民間企業で導入されている、業務時間の20%を担当以外の業務でチャレンジする「霞が関版20%ルール」の導入も提案した。
タスクフォースが働き方改革報告書(文部科学省)
文部科学省の若手有志職員も参加した「新しい仕事の仕方・働き方改革の検討に関するタスクフォース」は新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた報告書を出した。ペーパーレス化や意思決定の効率化など働き方が改善したと説明。テレワークは約8割、オンライン会議は約9割の職員が今後も活用したいという回答を紹介し、時計の針を元に戻さずに、新しいシステムに移行することが不可欠だと訴えている。
報告書は、新たな職場環境づくりのための具体例として▽積極的なテレワークの推奨▽オンライン会議・打ち合わせの推進▽執務管理、従来の慣行に起因する課題への対応▽外部機関とのコミュニケーションの在り方の検討──を提示している。
報告書に合わせ、コロナ禍の中で取り組んできた事例集も作成した。コロナ感染拡大を受けて挑戦してきた新たな働き方の「実例」として、省内打ち合わせなどのオンライン化といった取り組みを、10項目に分けて記した。自治体への説明もオンラインで実施したことなども載せている。
男性の育休 7.48%(厚生労働省)
厚生労働省は、2019年度の「雇用均等基本調査」結果をまとめた。男性の育児休業取得率は7.48%で、前年度に比べて1.32ポイントアップした。女性は83.0%で同0.8ポイント上昇。20年の男性の育児休業取得率に関する政府目標は13%となっているが、実現は難しい状況だ。
同調査は、女性の管理職の割合や育児休業・介護休業取得率などについて、全国の6000企業・6209事業所を対象に、19年10月1日現在で調べた。