霞が関情報|「地方財務」2019年12月号(ぎょうせい)
地方自治
2019.12.12
起業支援プラットフォーム開設(農林水産省)
農林水産省は、Web上での起業支援プラットフォーム「INACOME(イナカム)」を開設した。起業支援団体の専門家や現役の起業家に経営相談したり、地域内外の自分のニーズに合ったコミュニティで情報交換したりするために利用してもらう。農山漁村地域に新たなビジネスを生み出すことが目的だ。
農山漁村が活力を取り戻し、持続可能な発展を実現するためには、雇用と所得を生み出すことが重要。農山漁村には魅力的な資源が豊富にあり、これを活用した多様な事業を起こすチャンスがある。
しかし「気軽に相談できる人がいない」「地域との橋渡し役がいない」といった課題が生じているという。
そこで、起業者間の情報交換でビジネスプランを磨き上げたり、起業支援団体や地方自治体からアドバイスを提供してもらったりすることで、INACOMEを課題克服の手助けにする。
具体的には、コミュニティでの情報交換のほか▽全国の同業者や、地域の起業者・支援団体・有識者とつながるための検索▽起業や事業拡大に役立つセミナーを動画で自宅で受講▽実例記事で各地の起業・新規事業展開の成功事例を学ぶ▽経営支援や資金調達支援などさまざま情報が手に入るイベント案内などを主な役割としている。
中心市街地再生でプログラム(内閣府)
有識者をメンバーとした内閣府の検討会は「中心市街地再生促進プログラム」(仮称)を策定する検討を進めている。中心市街地の再生に必要な重点的に取り組むべき課題を整理するとともに、それらの解決に向けた具体的な方策を考える。6月に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」を受けた対応だ。
プログラムの対象期間は、2020年から24年の5年間とした。19年度中を目途に最終の取りまとめをする予定だ。第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも反映させることにしている。
基本方針2019は、社会・経済状況の変化を踏まえ、国の制度を活用する認定市町村を中心に、多世代が暮らしながら働ける場づくりが必要だと指摘した。将来を見据えた取り組みを支援するため、関係省庁の連携を強化するよう促している。
地域の人口減少や若者の流出、空き店舗・空きビルといった遊休資産の拡大、外国人観光客の増大など社会・経済状況が大きく変化してきた。中心市街地活性化の支援制度も、これらに対応していくことが必要になっている。
自治体のニーズに即した利用しやすい制度にして、まちの再生による地方創生を強力に推進することが、プログラム策定の考え方として掲げられている。
プログラムの視点としては▽社会経済情勢の変化に対応した戦略に取り組む▽まちのストックを活かす▽地域資源とチャンスを活かす▽民との連携を強化する▽使いやすい仕組みにすることが挙がっている。
具体的には、子育て支援施設と高齢者対応施設の複合的な整備や、既存の建物・店舗のリノベーションなどが検討対象になる。
有休取得率は52.4%(厚生労働省)
厚生労働省は、2019年の「就労条件総合調査」の結果をまとめた。それによると、民間企業に勤める労働者が2018年に取った1人平均の年次有給休暇の取得率(与えられた有休に対する実際に取得した割合)は52.4%となり、前年に比べて1.3ポイント上昇した。政府の「仕事と生活の調和推進のための行動指針」で定められた2020年に70%とした目標を達成するには、まだ隔たりが大きい。
調査は、常用労働者30人以上の民営企業(医療法人、社会福祉法人、各種協同組合など会社組織以外の法人含む)が対象。このうち6405社をピックアップし、19年1月1日現在の状況について調べた。有効回答は4127社だった。
調査結果によると、年次休暇の平均の付与日数は18.0日。このうち、取得日数は9.4日で前年に比べて0.1日というわずかな伸びだった。
労働者の健康確保などを目的に、終業から始業までの間に一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」について聞いたところ、「導入している」と回答した企業の割合は3.7%。前年に比べて1.9ポイント増えた。「導入を予定または検討している」と答えたのが15.3%だった。「導入予定はなく、検討もしていない」が80.2%だった。