公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書
【新刊】公務員に特化した『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)―パワハラ都市伝説③「パワハラは管理職だけの問題」は嘘
地方自治
2020.07.28
パワハラ都市伝説③「パワハラは管理職だけの問題」は嘘
(単行本公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書)
(株)ぎょうせいは令和2年7月、公務員に特化したパワーハラスメントの専門実務書『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)を刊行しました。パワーハラスメントの防止を企業に義務付けるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)が令和2年6月、施行されたことを受けたものです。ここでは、『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』から内容の一部を抜粋してご紹介します。(編集部)
パワハラ防止研修の受講者を管理職に限定しているところがありますが、それは間違いです。その理由は次の二つです。
●部下もパワハラの加害者になり得る
一つ目の理由は、法令で定められたパワハラの定義によると、パワハラの行為者は管理職に限らないことです。従来、逆パワハラと呼んでいる部下から上司に対するパワハラもパワハラの一つとされています。仕事が属人化された状況の職場では、ベテランの部下が異動してきた上司に反抗して、指示命令を無視することも決して少なくありません。このような場合、これまでは上司の力量がないとして不問に付され、上司も誰にも相談できず悩みを抱えたままというケースも多くあったと思われます。しかし、このようなケースもパワハラとして整理され、部下の上司に対する言動の一部は個人間での問題と整理せず、組織的な問題と位置付け、問題を無くしていくことが求められるようになったのです。パワハラに関して、加害者は上司に限定されないというように整理されたことは、画期的な出来事と言えるかもしれません。
●被害者を救うためにも全員に周知
もう一つの理由は、パワハラの真の被害者を救済するためです。何がパワハラに当たるかを含め、パワハラに関する正しい知識を全ての職員に共有しておくことが、パワハラを防止するためには必要不可欠です。何がパワハラに当たるかについての正しい知識がないとパワハラ的な言動を受けた場合、どうすればよいのかわかりません。特に、相談体制についての情報は、全ての職員が利用可能なように共有しておく必要があります。管理職だけがその情報を独占しているようだと、むしろ、不信感を招きかねません。
パワハラは全ての職員の問題と位置付け、全ての職員に研修を受講させて、皆が「自分事」としてパワハラ防止を理解しておくことが重要です。
Point
・パワハラは管理職だけの問題ではない。
・いわゆる逆パワハラもパワハラの一つである。
・被害者を救済するためにも全ての職員を対象にパワハラ研修を行い、情報を共有しておこう。