行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―フィンテック(FinTech)とは

地方自治

2020.11.02

【最新行政大事典】用語集―フィンテック(FinTech)

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第9章 金融」から、「フィンテック(FinTech)」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

フィンテック

 フィンテック(FinTech)は、金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせて生み出される新しいサービスを指す言葉である。インターネットバンキングやインターネットによる株や外国為替取引など、ICT(情報通信技術)を活用したサービスはすでに広く普及しているが、フィンテックはベンチャー主導で、従来の金融が提供してこなかった多種多様なサービスを提供している点が大きく異なっている。フィンテックが従来型の金融機関によるICT活用型サービスと大きく違う点は、これまでのような金融機関による汎用的なサービスではなく、ニーズごとに特化したサービスをICTによって実現・提供していることである。すでに金融機関の口座番号を使わずにSNSのIDなどで送金・決済ができるサービス、既存の金融機関に比べて安価な送金手数料で送金できる送金代行サービス等が動き出している。インターネットを介して融資や投資を行うクラウドファンディングやビットコインなどの仮想通貨もフィンテックに分類される。

 フィンテックの歴史はまだ浅く、米国で1998年にペイパルがインターネット決済サービスを初めて事業化したことがその始まりとされている。その後、ベンチャー企業が次々と参入し、レンディングクラブ(個人向けに消費者金融より低金利で個人間の貸し借りをサポートするクラウドファンディング)、リップルラボ(インターネットによる国際送金サービス)、スクエア(ツイッターの創始者ジャック・ドーシーによるスマホ決済サービス)など多種多様なサービスを提供し、急成長している。また、Google、Facebookといったネットビジネスの巨大企業もそれぞれの強みを活かしたフィンテックビジネスに力を入れている。欧米以外でもフィンテックビジネスが次々生まれている。アフリカのケニアでは、ボーダフォンが2008年から取り扱いを開始した携帯電話を利用した個人間の小口送金サービスM・PESAが爆発的に普及し、中国でも大手ネット企業の騰訊控股(テンセント)が個人間の送金サービス微信紅包を開始した。

 世界的にフィンテックが急速に進展するにもかかわらず、日本ではその成果を国民が享受できないままでいるのは、日本の法制度に問題があるとの指摘がある。特に金融法制は、銀行を中心にした業態別の体系となっており、フィンテックが切り開いた新サービスの普及する障害となっているという認識が識者の間でほぼ共有されている。金融審議会はこうした問題意識に基づき専門会「金融制度スタディ・グループ」を設けて、決済、資金供与、資産運用、リスク移転といった各機能に対応するサービスを横断的に提供するような金融サービス仲介法制の実現に向けた検討を進めている。

*『最新行政大事典』2019年10月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 長谷川清)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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