行政大事典
【最新行政大事典】用語集―印鑑登録証明とは
地方自治
2020.09.21
【最新行政大事典】用語集―印鑑登録証明
はじめに
『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第1章 行政一般・地方自治」から、「印鑑登録証明」を抜粋して、ご紹介したいと思います。
印鑑登録証明
ある印影が先に本人の印鑑として届け出たものと同一である旨の証明をいう。
日本では古くから、文書や書画等の作成者はそこに表示された人物に相違ないことを表すため、署名とともに押捺をする習慣が根付いていた。法律行為等における意思表示の信ぴょう性を維持するため、あらかじめ印鑑を公的機関に登録しておき、意思表示の内容を記載し署名・押捺した文書に、当該機関が発行する印鑑登録証明書を添付するという方法は、明治初頭、諸品売買取引心得方定書(明治4年太政官布告第456号)で印鑑登録証明の制度ができてからである。
この印鑑の登録及び証明に関する事務は、個人及び認可を受けた地縁団体については市区町村が、法人の代表者等については登記所(法務局等又はその支局や出張所)において行っている。
市区町村が行う印鑑登録証明事務は、自治事務として、各市区町村の条例、規則等で規定されている。 以前は、登録できる印鑑の形状・材質、登録資格者、登録事項、証明方法等が市区町村によって相違していた。しかし、人口移動の増大、経済活動の拡大等による印鑑の登録及び証明件数の急増は、市区町村間における制度の不統一による問題を顕在化させた。
また、かつては多くの市区町村における証明の方法は、証明書の交付に当り申請者に登録印鑑を持参させ、その印影や形状・材質と保管している登録原票の印影や記載された形状・材質とを照合して、申請に係る印鑑が登録された印鑑の相違ない旨を証明する、いわゆる直接証明方式をとっていた。このため巧妙に偽造された印鑑について登録証明書を発行し、これを添付した契約書を信用し損害を被ったとして損害賠償を請求される事例も出てきた。
印鑑登録証明事務処理要領
そこで昭和46年に自治省は、市区町村が準拠すべき事務処理の基準として「印鑑登録証明事務処理要領」(昭和46年自治省振興課長通知)を定め、その後も社会状況の変化に応じて改正を加えている。
この事務処理要領では、印鑑の登録資格者は当該市区町村の住民基本台帳への記録又は外国人登録原票への登録がされている者とし、15歳未満の者及び成年被後見人は適用除外としている。登録できる印鑑についても一定の基準を設けるとともに、印鑑登録の証明方法として、証明書にあるものが印鑑登録原票に登録されている印影の写しであることを証明する、いわゆる間接証明方式を採用している。
また、いわゆるなりすましによる不正な印鑑登録を防止するため、登録に際して身分証明書等による本人確認又は文書等による本人意思の確認を行うこととしている。
印鑑登録をした者に対しては印鑑登録証を交付し、その後の印鑑登録証明書の交付申請には印鑑を持参することなく印鑑登録証の提示で足りること、代理人による交付申請についても印鑑登録証の提示により申請・受領の委任状を省略できることとし、事務処理の簡素化、迅速化を図っている。
近年は住民票等の写しの自動交付機により印鑑登録証明書も交付できるよう、磁気又はICによる印鑑登録者識別カードを発行することもできるようになっている。市区町村によっては、更に個人番号カード(マイナンバーカード)により、住まいの市区町村に関わらず、最寄りのコンビニエンスストアなどで発行できる。