行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―市町村税

地方自治

2020.06.14

【最新行政大事典】用語集―市町村税

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第6章 国税・地方税」から、「市町村税」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

 地方公共団体が地方税法の定めるところによって賦課徴収する地方税は、課税団体の種類からみて道府県が課税する道府県税と市町村が課税する市町村税とに大別することができる(地税1〔1〕IV)。

1 市町村税の仕組み

 市町村税は、市町村がその行政に要する一般経費を賄うために課徴する税であり、市町村の財政収入の大宗をなしている。

 市町村税には、その税の収入が何ら使途を特定されることなく、一般経費の財源に充てられる普通税とその税収入が特定の目的のために使用されなければならないとされている目的税とがあり、それぞれ地方税法で税目その他が規定されている法定税と法定外税とに区別される。

〔1〕法定普通税とは、徴収に要すべき経費が徴収すべき税額に比して多額であること、その他特別の事情がないかぎり必ず課税しなければならないとされているものである。これは国税、地方税を通ずる負担の均衡と地方税制に斉一性が求められるからである。

〔2〕法定外普通税とは、当該市町村の特殊事情を勘案し、法定税目以外の税源に着目し、あらかじめ総務大臣に協議し同意を受けて設けられる税である。市町村において特別な財政需要が存在する場合、当該市町村はその必要とする財政需要を賄うため、必要に応じ標準税率の定めのある法定税目について標準税率を超えて(制限税率の定めがある場合には、その範囲内で)課税することができるものであるが、標準税率を超えて課税することにより収入増を求めてもなお必要な財政需要を賄う財源に不足を生ずる場合、又は、租税負担の均衡を保つ上からみて課税を必要とし、かつ、これによる財源を必要とする場合においては、地方税法の定めるところによって、法定外普通税を起こすことができることとされている(地税5〔3〕、669等)。

 法定外普通税はこのように市町村ごとの特別の財政需要を充足するために認められているものであるが、ただ無制限に設定が許されるものでなく、当該市町村の財政需要の実情等を勘案しつつ、できるかぎり住民負担が過重にならないように配慮するとともに、国の経済施策等に照らして適当でないと認められる税目の設定を回避するため、その新設又は変更については、あらかじめ総務大臣の同意を受けなければならないこととされている。

 

2 現行市町村税

 市町村税における法定の普通税には、市町村民税、固定資産税、軽自動車税(令和元年9月30日まで)・軽自動車税環境性能割(令和元年10月1日以降)・軽自動車税種別割(令和元年10月1日以降)、市町村たばこ税、鉱産税、特別土地保有税があり、目的税には、入湯税、事業所税、都市計画税、水利地益税、共同施設税、宅地開発税、国民健康保険税がある(地税5〔2〕)。

 また市町村は条例で定める特定の費用に充てるため、別に税目を起こして、普通税、目的税を課すことができる。この場合もあらかじめ総務大臣に協議し同意を受けなければならないこととされている(法定外普通税、目的税、地税5〔3、7〕、669、731)。

 令和元年6月1日現在、法定外普通税として7団体、別荘等所有税(熱海市)、砂利採取税(神奈川県山北町)、歴史と文化の環境税(太宰府市)、使用済核燃料税(薩摩川内市、愛媛県伊方町)、狭小住戸集合住宅税(東京都豊島区)、空港連絡橋利用税(泉佐野市)が、法定外目的税として8団体、遊漁税(山梨県富士河口湖町)、環境未来税(北九州市)、使用済核燃料税(柏崎市、佐賀県玄海町)、環境協力税(沖縄県伊是名村、伊平屋村、渡嘉敷村、座間味村)、開発事業等緑化負担税(箕面市)等、宿泊税(京都市、金沢市)等が、法定外税を課税している。なお山砂利採取税(城陽市)は平成28年5月31日に失効した。

 

3 市町村税の収入割合

 平成29年度における市町村税の収入額は、全国で21兆5,077億円となっている。
 これを税目ごとにみると、市町村民税が9兆6,949億円で全体の45.1%と最も大きな部分を占めており、続いて固定資産税で9兆254億円(42.0%)、以下都市計画税1兆2,767億円(5.9%)、市町村たばこ税8,623億円(4.0%)、事業所税3,712億円(1.7%)、軽自動車税2,486億円(1.2%)、その他の税492億円(0.2%)となっている。

*『最新行政大事典』2018年11月、一部加筆。(NPO法人 フォーラム自治研究 髙木祥勝)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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