霞が関情報
霞が関情報「地方財務」2022年10月号(ぎょうせい)
時事ニュース
2022.11.04
※2022年9月時点の内容です。
霞が関情報
(「地方財務」2022年10月号)
外国人案内所の機能を強化(観光庁)
観光庁は、日本政府観光局(JNTO)が認定する「外国人観光案内所」のブランド力強化やサービスの質の向上などを考えるため「JNTO認定外国人観光案内所の機能強化方策検討会」を設置した。検討会は、学識経験者や関連企業の代表らで構成。2022年度末には取りまとめをする予定だ。
具体的な検討項目は
▷案内所によるサービスの高度化
▷案内所間の連携
▷情報発信の強化
▷持続可能な観光への寄与
──などとしている。
同時に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した外国人観光案内所の機能強化に役立つ新しいモデル構築に向け、実証事業にも取り組む。
外国人観光案内所は、運営の考え方として「地域情報の交流拠点」「次の目的地への橋渡し」「観光案内のゲートウェイ」というカテゴリーに分類されており、それぞれで多言語対応や求められる立地が定められている。案内所の目につきやすい場所に、JNTOが認定したことを示すシンボルマークを貼ることになっている。
20年には全国で外国人観光案内所が1500か所という目標が達成され、22年7月時点で1565か所に増えている。
一方、ブランド力の強化、サービスの質の向上は引き続きの課題であることに加え、持続可能な観光や、近年の激甚化・頻発化する自然災害や新型コロナウイルス感染症などへの対応も重大な課題となっている。
転職で労働力需給調整(厚生労働省)
厚生労働省は、2022年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を公表した。副題は「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」。白書は、介護・福祉やITといった分野の労働力需要が一層高まることが予想されると指摘。こうした変化に対し、今後は主体的な転職などを通じた労働力需給の調整機能が重要になると強調している。
緊急事態宣言が全面解除となった21年10月以降、ワクチン接種の堅調な進展も相まって、経済社会活動が徐々に活発化し、雇用情勢にも一貫して持ち直しの動きがみられたと解説。転職者数の推移をみると、リーマンショックがあった2009〜10年にかけて大幅に落ち込んだものの、労働力の需給が改善して11年以降は増加が続き、19年には353万人となった。しかし、コロナ禍の影響で20年、21年は減少して290万人となっている。
白書は、ITの専門訓練の受講者についても分析した。男性は「情報処理・通信技術者」を希望する割合が高い一方、女性は「一般事務の職業」が半数以上で、「情報処理・通信技術者」は1割程度となっており、女性が情報技術者になりにくい要因である可能性を示唆している。
BRT導入でガイドライン(国土交通省)
国土交通省は「道路空間を活用した地域公共交通等の導入に関するガイドライン」をまとめた。学識経験者や行政関係者がメンバーの勉強会による議論などを基に、自治体がバス高速輸送システム(BRT)を検討する際のノウハウや留意点を整理した。今後も、新しい事例の蓄積を踏まえ、見直しをしていく予定だ。
BRTは「Bus Rapid Transit」の略称で、専用レーンや優先信号などを使って通常の路線バスより速く乗客を運べる仕組み。鉄道と路線バスの中間的な輸送方法として分類され、鉄道、モノレール、次世代型路面電車(LRT)などと比べて導入費用が安く、ルート設定の自由度が高いとされる。
ガイドラインは、国内で取り入れられている28の事例を対象に、導入の背景や輸送の特性によって
▷高い速達性・輸送力
▷高い輸送力
▷高い速達性
▷観光需要などに対応した輸送力
──の4つのグループにパターンを分類。それぞれの走行空間や車両などの特徴を整理している。
自治体のBRTを導入する際の、推進体制の構築から管理運営までの各段階の留意点についても説明。計画策定やインフラ整備、車両導入、新しいモビリティサービスの実証など、検討の着手から管理運営までの各段階の国の主な支援制度を紹介している。
都市、中山間地に限らず人口は減少傾向となっている。そこで、地域の人々の生活や生業が持続可能となるような社会の形成や、環境負荷の低減、地域活性化に貢献するまちづくりと一体となり、地域公共交通の確保・維持の必要性が高まっている。