霞が関情報|「地方財務」2019年5月号(ぎょうせい)
地方自治
2019.09.18
(「地方財務」2019年5月号)
民間から500人(人事院)
人事院は、2018年の「官民人事交流に関する年次報告」を国会と内閣に提出した。同年末時点で民間企業から国の機関への交流採用者数は25府省の500人となり、過去最高となった。
同年中に民間企業から国の機関に新たに派遣されたのは243人(22府省)。府省別に内訳をみると、国土交通省(77人)が最も多く、次いで経済産業省(51人)、厚生労働省(20人)の順だった。
逆に、同年中に国の機関から民間企業に新たに派遣されたのは37人(15府省)。府省別では、多い順に厚生労働省の8人、経済産業省の6人、金融庁と国土交通省の5人となっている。
業種別にみると、民間企業からの採用は「金融業、保険業」が最も多く68人で、以下、「製造業」52人、「サービス業」37人。民間企業への派遣は、「製造業」が10人で最多となっており、以下、「金融業、保険業」が9人、「サービス業」と「運輸業、郵便業」がいずれも6人だった。
廃校は358校(文部科学省)
文部科学省は、2018年度の「廃校施設等活用状況実態調査」の結果をまとめた。それによると、17年度に廃校になったのは358校だった。これで、02年度から17年度までの間に廃校となったのは7,583校となった。
調査は、全国の公立小中高校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校を対象に、廃校の数や活用状況、活用に向けた検討状況について、18年5月1日現在で調べた。
学校の種別で17年度の内訳をみると、小学校が249校、中学校が74校、その他の学校が35校だった。
施設が現存している廃校の数は6,580校となっており、このうち活用されているのは4分の3の4,905校だった。活用されていない廃校のうち、活用の用途が決まっていないのが約2割の1,295校となっている。取り壊しを予定しているのは2.7%の176校だった。
新品種海外流出で対策(農林水産省)
農林水産省は、農業団体や学識経験者らがメンバーの「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」を設け、議論を始めた。わが国で開発された品種が海外に流出している問題を受け、実効性ある対策を考える。
高い技術力に支えられて開発された日本の新品種は、国内外で高く評価されてきた。そこで、これらの品種を知的財産として保護するため、種苗法に基づく品種登録制度が設けられている。しかし、最近は海外への流出が問題になっているほか、日本での品種改良が停滞傾向にあることから、将来的な国際競争力の低下が懸念されている。
検討会は、優良な品種を持続的に利用していくことが可能となるよう、より実効性ある植物新品種の保護のための方策を関係者で議論し、方向性を提案することにしている。
不動産業でビジョン(国土交通省)
国土交通相の諮問機関である「社会資本整備審議会」の産業分科会不動産部会は、2030年をターゲットに据えた不動産業のビジョンをまとめた。ビジョンは、モノのインターネット(IoT)などの新技術によって、これまで立地不利とされていた地域であっても地方創生を実現できる可能性があると指摘している。
ビジョンは、東京五輪・パラリンピックから10年程度は、不動産を取り巻く状況が大きく変化し、高齢者単身世帯の増加など需要層に変化があると指摘した。一方、IoTなどの技術革新で生活や働く場の選択の自由度が高まり、不動産活用が多様化すると分析している。地方創生の実現としては、地方都市でサテライトオフィスを整備し、都市部からIT企業を誘致して、衰退する商店街を再生させた事例があると紹介している。不動産業者にも、こうしたプロセスへの積極的な参加をするよう促している。
ビジョンは、今後10年程度の間に重点的に検討を要する政策課題として▽「ストック型社会」の実現▽地方創生・エリア価値向上▽技術革新・業務効率化▽少子高齢化社会への対応――などを掲げた。
このうちストック型社会に関して、近年急増している空き家や空き地などの遊休状態にある不動産を、地域のニーズに応じて宿泊施設や交流施設などにリノベーションして地域の課題解決につなげることも提案。ただ、有効な活用が見込めない不動産は思い切って「たたむ」ことも視野に入れるよう促した。