連載 コミットメント ── 他責から自責文化の自治体職員 第18回 仕事の目的を意識する【胎中謙吾(奈良市職員=公益社団法人奈良市観光協会出向中)】
地方自治
2022.07.08
本記事は、月刊『ガバナンス』2017年11月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会の修了生(マネ友)のメンバーがリレー形式で執筆します。
目的を整理するためにマインドマップを作る
早稲田大学人材マネジメント部会を修了して4年。仕事の「目的」をより意識するようになった。目的意識を持つことで責任感が生まれ、やる気を持って仕事に励むことができる。一方、なぜその仕事をやっているのか理解できないと、与えられた仕事をこなすだけとなり、やらされ感に陥ってしまう。
そこで、私は目的を整理するためにマインドマップを作るようにしている。マインドマップとは、思考・発想法の一つで、頭の中で起こっていることを見える化した思考ツールである。まず紙の真ん中に、自分の仕事で達成したい理想の状態を書く。私の場合、修学旅行の誘致を担当しているので「修学旅行生に、将来また奈良に来てもらう」と書く。次に、その理想の状態を達成するために必要なキーワードを書いて線で結ぶ。同様に、出たキーワードに対して連想するイメージや達成方法を書いて線でつなげていく。これを繰り返し、自分の業務内容をイメージしながらどんどん広げていく。どんな些細なことでも全て書くことがポイントである。そうすると、業務の目的が整理され、自分の業務がどのように理想の状態につながっているか見て分かりやすくなる。この結果、頭が整理され、自分が理想とする状態に対して目的を明確にすることができる。
また、マインドマップは、新規事業を行う時や部署を異動した際も有効である。
入庁して11年目。今年度から奈良市観光協会に出向し、修学旅行誘致というこれまでとは違った分野の仕事を担当することとなった。異動後に私が最初に行ったのは、「修学旅行で訪れた奈良を好きになってもらい、将来また奈良に来てもらう」という理想の状態をしっかり意識し、マインドマップによる「修学旅行生に奈良のことを深く知ってもらう」という目的の設定である。そうすることで、初めての仕事であっても、自分のやるべきことを主体的に見つけることができ、やりがいや充実した日々につながっている。
このように、仕事を自分事としてとらえる術を持つことは、ひいては住民サービス向上につながると信じている。
(奈良市職員=公益社団法人奈良市観光協会出向中/胎中謙吾)