霞が関情報「地方財務」2020年3月号(ぎょうせい)
地方自治
2020.03.04
霞が関情報
(「地方財務」2020年3月号)
パワハラ相談の体制整備要請(人事院)
人事院の「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」(座長・荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)は報告書をまとめた。パワハラについて、問題が深刻化する前に相談できる体制の整備を各省庁に促した。人事院には、これまで以上に、職員が苦情相談をしやすくする工夫を求めている。これを受け人事院は、パワハラに対する新たな規則づくりなどに取り組む。
検討会は、企業のハラスメント防止の相談業務に当たっている会社の代表や、公務員制度研究の学者ら有識者がメンバー。2019年3月から議論を重ねてきた。
報告書は、国家公務員に対するパワハラを「職務に関する優越的な関係を背景として行われる、職員に精神的または身体的苦痛を与え、職員の人格や尊厳を害する、あるいは、職員の勤務環境を害することとなるような、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動」ととらえ、人事院規則で定めるよう提案した。
報告書は人事院に対し、今回の提言を踏まえ、パワハラ防止のための枠組みを適切に設けるとともに、各省庁の取り組みに関して継続的に助言、指導していくよう促した。
2018年度の「年次報告書(公務員白書)」によると、同年度の苦情相談のうちパワハラ関係が全体の4分の1を占め、366件と最多だった。
人事院は、2020年度当初予算案に、新規事業としてパワハラ防止に向けた視聴覚研修教材の作成や各省の研修を支援するための費用800万円を盛り込んでいる。
児童虐待防止で強化プラン(法務省)
法務省の「児童虐待とたたかうプロジェクトチーム」は、児童虐待撲滅対策の強化プランをまとめた。各地の法務省関係機関に担当窓口を設けることが柱だ。政府を挙げて取り組んでいる児童虐待防止対策について、同省が抱える資源やノウハウを最大限活用し、児相などに協力するのが狙い。省内で連携して情報交換を密にするため、連絡協議会も設置した。
同省は地方に、法務局や法務少年支援センター(少年鑑別所)といった各種の拠点を設けている。少年鑑別所の職員は心理テストや親へのカウンセリングなどに関する専門的な知見を身に着けている。それらを活用し、親や児童の心理分析に協力する方法などが想定される。
同チームは2019年10月、省内全部局の担当課長らを構成員として設けられ、現場視察や議論を重ねてきた。
食品ロスゼロにアイデアコンテスト(環境省)
本来食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」をゼロにすることを目指し、環境省は農林水産省や消費者庁などと連携し、3月からアイデアコンテストを始める。食べ切ることができなかった料理は、消費者が自己責任で持ち帰ることを習慣とする機運を醸成するのが狙い。5月中旬に締め切り、6月ごろに結果を公表する見通しだ。
外食時に食べきれず残した料理を持ち帰るための容器「ドギーバッグ」が欧米で普及している。環境省などは、ドギーバッグを参考に、分かりやすいネーミングを募集。具体的には、飲食店で食べきることができなかった料理を持ち帰る行為に関する名前やパッケージデザインを募る。
進まない自治体SDGs(内閣府)
国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みを推進している自治体は全体の13.5%(回答団体の19.5%)だったことが、内閣府の全国調査で分かった。政府は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、SDGsに取り組む自治体の割合を2024年度に60%とする目標を掲げているが、進捗の割合はまだ低い結果となった。
調査は、全国1788団体(47都道府県、1741市区町村)を対象に、2019年10月1日から11月29日まで実施した。対象の69.1%に当たる1237団体(46都道府県と1191市区町村)から回答を得た。
SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な世界を実現するための30年までの国際開発目標。気候変動対策や男女平等、海洋資源保護など17の目標を掲げている。
調査結果によると、SDGsに「非常に関心がある」と答えたのは217団体、「関心がある」のは827団体だった。計1044団体で、回答した団体のうち84.4%(全体の58.4%)が関心を持っている。ただ、今後新たに注力したいと思っている課題(複数回答)を聞いたところ、「分からない」が最も多く、295団体だった。