
ガバナンスTOPICS【イベントレポート】
【全国地方議会サミット2026】議会基本条例20年。地域の未来を動かす議会へ/イベントレポート
NEW地方自治
2026.09.28
目次
出典書籍:『月刊ガバナンス』2026年9月号
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月刊 ガバナンス 2026年9月号
特集1:自治体の「ワークプレイス」を考える
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【ガバナンス・トピックス】
議会基本条例20年。地域の未来を動かす議会について議論
──全国地方議会サミット2026
全国の超党派の地方議員らで構成するローカル・マニフェスト推進連盟(LM推進連盟)は7月13~14日の2日間、横浜市内で「全国地方議会サミット2026」を開催した。サミットでは議会改革の歩みの検証やAI活用、主権者教育などを議論しつつ、今後の地方議会のあり方を展望した。
議会基本条例20年を振り返る
2日間にわたって開催された今回のサミットは「いま、地域の未来を動かす議会へ。~議会基本条例20周年」がメインテーマ。今年は、2006年に北海道栗山町議会で議会基本条例が制定されてから20周年を迎え、地方議会の現在地とこれからを考えるプログラムが組まれた。

会場は横浜・みなとみらいの京セラ株式会社 みなとみらいリサーチセンターINNOVATION SQUARE。会場・オンライン合せて200人以上が参加した。
初日は、「議会基本条例20年の歩みと検証」と題したサミットのメインプログラムからスタート。新川達郎・同志社大学名誉教授、廣瀬克哉・法政大学教授/前総長、江藤俊昭・大正大学教授の3人が登壇した。
講演:地方議会制度の変遷と議会基本条例の課題
まず、新川名誉教授は、戦後の地方議会制度と地方議会の変遷を概観したあと、2000年地方分権改革について語った。「執行機関改革が中心で、議会(住民自治)は後回しになった」とし、2000年代になってから議会関連の自治法改正が進んできたと説明した。
議会基本条例については、宣言条例としての重要性などに言及。一方、議会基本条例を制定する多くの地方議会が直面する、評価や見直しなどの課題について挙げた。今後の役割の方向性として、
■議会制理念の再構築の必要性
■計画や目標の合意調達
■執行機関や住民と対話ができる
■住民とともに施策や事業を考えることができる
──などを示した。
講演:議会基本条例の歩みと「継承」の課題
続いて、廣瀬教授が講演。まず、議会基本条例の意義として「議会基本条例という条例が存在することを意識させたことだ」と共有。改革のアウトプットとして栗山町議会基本条例の制定、さらには三重県議会基本条例(同年12月可決)の「法制度的なフロンティアの意識と思い切った挑戦」(廣瀬教授)といったモデルが多くの議会に響いたと指摘した。
2010年1月に提言された議会基本条例「東京財団モデル」(議会報告会・意見交換会の開催、請願・陳情者の意見陳述の保障、議員間の自由討議の明記──の3要素を含まない議会基本条例は“ニセモノ”)によって、一定の質が担保された議会基本条例が全国的に普及。廣瀬教授は、「“機関”としての議会が自覚されるようになり、そこから『チーム議会』という認識にも派生した」とその効果を振り返った。
一方で、現在直面している課題として、条例制定時の議員がほぼ在籍していない議会も増え、「『継承』という課題が表面化している」と指摘。制定後に初当選した議員にとっては、「あらかじめ存在し、与えられたもの」であり、「意義や内容が伝わっていない現実がある」とした。
また、ほとんどの議会基本条例に「議会事務局の強化」が規定されながら、それが実現された議会が少ないことを問題視。「『選挙で選ばれたアマチュア集団が、合議によって政策決定権を行使する』ために議員が徒手空拳で活動するのには限界がある」と指摘し、当面の突破口としてAIの活用に期待した。
講演:『議会改革の本史』と新たなフェーズ
江藤教授は、まず議会基本条例の制定によって、「『議会改革の本史』に突入した」とし、条例が「地域経営・地方政治のイメージを転換させた」と指摘。議会を正常な位置(住民自治の根幹をなす地方議会)に置くことで、合議制(多様な議員が公開の場で討議)や機関競争主義(二元制から首長と競争)などによって「住民自治の“地殻変動”を促進させてきた」と述べた。
そして、新たなフェーズとして、住民福祉の向上に寄与するため、
■議会からの政策サイクルの確立
■議会活動を支援する体制
■議会基本条例、議会改革の検証・評価の充実など
──の必要性について言及した。
パネルディスカッション
講演に続き、三氏でパネルディスカッション。講演を受け、条例を育てていくための方向性や議選監査委員の活かし方などを議論した。
セッション1「AI活用と議会の未来」
初日は、セッション1「AI活用と議会の未来」も行われた。近藤にこるさん(EdFusion代表取締役)と村井宗明さん(AIエンジニア、元衆議院議員)が登壇。近藤さんは、中学生(13歳)で起業し、教育とテクノロジーを活用した子どもたちの挑戦支援について紹介。村井さんは、会場の参加者らにデジタル庁が作成し、OSSとして無償公開されている「源内AI」の活用を推奨。「機械的な事務はAIに、人と向き合う業務は人に」と熱を込めて会場に訴えかけた。
現在地の確認と未来を見据えて
セッション2「議会は地域をどう変えられるか」
2日目は2つのセッションが行われた。セッション2は「議会は地域をどう変えられるか」と題し、鵜川和彦・北海道栗山町議会議長、山本研一・神奈川県開成町議会議長、粕谷不二夫・埼玉県所沢市議会議長、横山正人・横浜市会議員(元議長)らが登壇。各議会の議会基本条例に基づくこれまでの実践や成果、これからの展望などについて議論した。
このうち、全国で初めて議会基本条例を制定した栗山町議会からは鵜川議長が発表。自身は条例制定の翌年(2007年)に当選したが、議会として今日に至るまで条例を「磨き続けている」とし、20年間で12回の改正を行ってきていることを説明した。時間を経て、議員や事務局職員が入れ替わり、「制定当時の情熱をどう伝えていけるか」と課題も口にした。
セッション3「シティズンシップ教育の今と未来」
続くセッション3では「シティズンシップ教育の今と未来」をテーマに、高橋一之・自治日報社記者、岸本優・神奈川県寒川町議会議長、丸山国一・山梨県甲州市議会議員、服部香代・熊本県山鹿市議会議員(前議長)、林大介・東洋大学准教授(コーディネーター兼務)が登壇し、各議会で行っている出前授業などのシティズンシップ教育の実践を紹介した。林准教授は「子どもだけでなく大人のシティズンシップ教育も必要だ」と述べた。
最後のセッションでは、新川名誉教授と江藤教授が登壇し、2日間のサミットを総括。江藤教授は、なり手不足の議会では「議員・議会の魅力が住民に伝わっていない」とし、政策サイクルながら成果につなげていく必要性を強調した。最後に、新川名誉教授は「思いを込めた議会基本条例の前文・理念は再検討、検証をしているか」と未来の地方議会の姿を見据えるよう、会場に問いかけ、2日間のサミットを締めた。
(本誌/浦谷 收、芳野 泉)
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特集1:自治体の「ワークプレイス」を考える
特集2:客観性を味方にする データ活用のはじめかた
編著者名:ぎょうせい/編
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