
公務員が読みたい今週の3冊
公務員が読みたい今週の1冊【日本のインフラ危機】
ぎょうせいの本
2026.04.07
この記事は3分くらいで読めます。
出典書籍:『月刊ガバナンス』2026年3月号
今週、何読む?
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「公務員が読みたい今週の3冊」では毎週2~3冊をご紹介。
特別編「公務員が読みたい今週の1冊」ではたっぷりの著者インタビューとともに、おすすめの1冊をじっくりとご紹介します。
「今週読みたい図書」の選定にぜひお役立てください。
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誰もが他人事ではいられない「インフラ」のこと

日本のインフラ危機
岩城一郎・著
講談社現代新書/960円+税
著者プロフィール
岩城一郎(いわき・いちろう)
1963年、東京都生まれ。日本大学工学部工学研究所長・土木工学科教授。博士(工学)。東北大学大学院修士課程修了後、首都高速道路公団、東北大学を経て現職。コンクリート構造物の高耐久化やインフラのメンテナンスを専門とし、地域住民との協働による「橋の歯磨きプロジェクト」に取り組む。元土木学会誌編集委員会委員長。土木学会論文賞・技術賞、インフラメンテナンス大賞国土交通大臣賞など受賞。編著に『新設コンクリート革命』『インフラメンテナンス大変革』(ともに日経BP)など。
誰もが他人事ではいられない「インフラ」のこと
── 著者インタビュー
2025年1月に発生した埼玉・八潮道路陥没事故は、いまだ記憶に新しい。私たちの生活に欠かせないインフラがいま、老朽化という危機を迎えている。予算も人も不足する中、どのようにこの危機を乗り越えていくか──本書は、インフラの歴史、現状、課題やその解決策について、一般向けにもわかりやすく解説した書だ。
著者は、日本大学の岩城一郎教授。インフラメンテナンスやコンクリート工学を専門とし、自身の講義では“地域住民との協働によるインフラ整備”といった、地域の中での取り組みも積極的に進めてきた。そうした事例をより広く知ってもらえる本をつくりたいと考えたのが、執筆のきっかけだそうだ。
「本書の広報活動を行う中でも、インフラの問題を“自分ごと”としてとらえている人が非常に少ないことを実感している。まず、インフラの現状を知ってもらうこと。そして、このままだと将来どうなってしまうのか、未来に向けてどんな手立てがあるのか、ということを多くの人に伝えたかった」
と岩城教授。
そうした目的意識から、計算式など専門書のような難しい表現は避け、わかりやすさを工夫したという。加えて、“エビデンス”をしっかりと提示することにもこだわった。
「最初、図表等にも忌避感をもたれてしまうのではないかと考えていたが、編集者から『エビデンスをしっかり示すことで納得感をもって理解してもらえる』というアドバイスをもらい、多く入れるようにした。結果、読者からも『データにもとづき解説されていたのがよかった』との感想が届いている」
豊富なエビデンスが生む“説得力”は、読者がインフラの危機を自分ごと化していくためにも重要な要素だろう。
1970年代の高度経済成長下で最盛期を迎えたインフラ整備は、その後、右肩下がりとなって久しい。コンクリート構造物の耐用年数の目安である「50年」を目前に、岩城教授は今がラストチャンスだと強調する。
「このまま進めばインフラの事故はますます増えていくだろう。しかし、構造物のつくり方や行政の体制が時代に合わせて変わってきているかと問われれば、マイナーチェンジのみで大きくは変わっていない。いまの延長線上に解はない。変革が必要だ。
技術を担う我々研究者と、仕組みや制度を担う行政。縦割り構造を取り払い協働しながら、抜本的にやり方を変えていかなければならない。そして何より大事なのは、市民の意識。市民の関心事になれば世の中が変わる。『もう何も打つ手がない』という絶望ではなく、『頑張ればまだなんとかなるかもしれない』という希望をもつためにも、ぜひ本書を手に取ってほしい」
と期待を込めた。
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