本書は、アジアを代表する比較教育学研究機関である香港大学比較教育学研究センターが発刊した‘Comparative Education Research: Approaches and Methods’を、フランス語、イタリア語、スペイン語、中国語版に続く、日本語版として翻訳したものです。
本書は、比較研究という「方法論」に焦点をあて、具体的な研究の切り口や、伝統的または新しい手法を提示しています。これは教育に限らず、他の学問分野においても、幅拾い汎用性をもつものです。
また、欧米から発信される比較研究が多い中、本書は、アジアに拠点をおき、アジアから発信する比較教育学研究として、日本の比較教育学研究にも大きなインパクトを与えるものといえます。
巻末には、日本における比較教育学の展開および、具体的に比較教育学の方法論がどのような教育事象の解析に役立つかを論じた「補論」を附すことにより、比較教育学研究が果たしうる役割とそこでの課題を鳥瞰できるようにしています。
目次
序章/マーク・ブレイ、ボブ・アダムソン、マーク・メイソン
1 研究の立ち位置
1 比較教育研究のアクターと目的/マーク・ブレイ
2 比較教育における量的手法と質的手法/グレゴリー・P.・フェアブラザー
3 比較教育研究における「経験」の位置づけ/パトリシア・ポット
2 比較の分析単位
4 地理的地域・空間・場所に基づく比較研究/マリア・マンゾン
5 教育制度による比較研究/マーク・ブレイ、蒋 凱
6 「時」を軸とした比較研究/アントニー・スィーティング
7 文化と比較研究/マーク・メイソン
3 総括
8 学術的探求と比較教育学の領域/マーク・ブレイ
9 様々なモデル・重点・考察/マーク・ブレイ、ボブ・アダムソン、マーク・メイソン
補論 日本における比較教育研究の方法論をめぐる論議―日本比較教育学会の研究動向を中心に―/杉村美紀
編著者紹介(肩書は発刊当時、敬称略)
[編著者]
Mark Bray(マーク・ブレイ)
香港大学比較教育学講座主任教授。世界比較教育学会元会長。香港比較教育学会元会長。
Bob Adamson(ボブ・アダムソン)
香港教育学院教授。香港比較教育学会副会長。香港大学比較教育センター元所長。
Mark Mason(マーク・メイソン)
香港教育学院教授。香港比較教育学会元会長。香港大学比較教育研究センター前所長。香港大学名誉教授。
[訳者]
杉村美紀(すぎむら・みき)
上智大学総合人間科学部教育学科准教授。
大和洋子(やまと・ようこ)
国立教育政策研究所研究協力者。東洋英和女学院大学等にて非常勤講師。
前田美子(まえだ・みつこ)
大阪女学院大学国際・英語学部准教授。元JICA教育専門家。
阿古智子(あこ・ともこ)(2章、3章担当)
早稲田大学国際教養学部准教授。