行政書士法施行規則の改正について(『月刊 地方自治』2025年2月号)
NEWぎょうせいの本
2025.02.20
行政書士法施行規則の改正について
総務省自治行政局行政課行政書士係長 鈴木 一駿
(『月刊 地方自治』2025年2月号)※2025年1月時点の内容です。
一 はじめに
行政書士法施行規則の一部を改正する省令(令和六年総務省令第五八号。以下「改正規則」という。)は、令和六年五月三一日に公布され、同年七月一日から施行することとされた。行政書士法(昭和二六年法律第四号。以下「法」という。)第一条の二において、官公署に提出する書類等(電磁的記録を含む。)の作成は行政書士の業務とされているが、同法第一九条第一項ただし書きでは、「定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。」と規定されているところ、改正規則は、今般の軽自動車保有関係手続のワンストップサービス(以下「軽自動車OSS」という。)の拡充に際して、改正規則に定める手続及び者について、この規定に該当するものとして電磁的記録の作成を可能とするために必要な規定の整備を行ったものである。
本稿では、改正規則の内容や改正に至る経緯等について、関係する行政書士法の規定に触れながら解説することとしたい。なお、文中、意見に係る部分については、筆者の私見であることを予めお断りしておく。
二 平成一四年の行政書士法の改正について
法第一条の二において、行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、①官公署に提出する書類(電磁的記録を含む。)、②権利義務に関する書類、③事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とすることとされている。
また、同法第一九条第一項において、行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができないとされ、業務の制限の規定が設けられている。その一方、例外とする場合についても規定されており、同項ただし書きにおいて、他の法律に別段の定めがある場合のほか、
・定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、 ・当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者
が電磁的記録を作成する場合は、この限りでないとされている。
このように、官公署に提出する書類の作成が行政書士の独占業務とされつつ、その例外として総務省令で定める手続・者が電磁的記録を作成することができることとされている背景としては、平成一三年三月二九日に「e‐Japan重点計画」がIT戦略本部において決定され、「国民等と行政との間の実質的にすべての申請・届出等手続を、二○○三年度までのできる限り早期にインターネット等で行えるようにする。」、「内閣官房は、関係府省の協力を得て、二○○一年度早期に申請・届出等の手続きのオンライン化に伴う法令の見直し等に係る基本方針を取りまとめる。」、「各府省は、上記方針及び新たなアクション・プランを踏まえ、二○○一年度中に法令の見直し等を行う。」こととされたことが挙げられる。また、その後