地方公共団体情報システム標準化基本方針の改定について(『月刊 地方自治』2024年4月号)
ぎょうせいの本
2024.04.23
地方公共団体情報システム標準化基本方針の改定について
総務省自治行政局住民制度課デジタル基盤推進室課長補佐 丸尾 豊
(『月刊 地方自治』2024年4月号)※2024年3月時点の内容です。
一 はじめに
地方公共団体の基幹業務システムについては、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」(令和三年法律第四〇号。以下「標準化法」という。)に基づき標準準拠システムへの移行が行われているところ、令和五年九月八日に、標準化の推進を図るための基本的な方針である「地方公共団体情報システム標準化基本方針」(令和四年一〇月七日閣議決定。以下「標準化基本方針」という。)の改定が閣議決定された。
本改定により、従来、令和七年度(二〇二五年度)末までとされてきた標準準拠システムへの移行期限について、原則として令和七年度末としつつ、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステム(以下「移行困難システム」という。)については、デジタル庁及び総務省において当該システムの状況を十分把握した上で、所要の移行完了の期限を設定することとされた。また、ガバメントクラウドの利用料の負担方法について改めて定められたほか、データ要件・連携要件に係る適合確認や、移行作業に係る進捗管理や支援体制など、標準化の取組の進捗を踏まえた改定がなされたところである。
本稿では、標準化基本方針の概要について簡潔に整理しつつ、令和五年九月改定の主な内容について解説する。
なお、文中意見にわたる部分については、私見であることを申し添える。
二 標準化基本方針の概要
標準化基本方針は、標準化法第五条に基づき政府が定めるものであり、標準化の意義及び目標に関する事項をはじめ、政府が実施すべき施策に関する基本的な方針、各地方公共団体情報システムに共通する基準を定めるべき事項に関する基本的な事項、標準化基準の策定の方法及び時期その他の標準化基準の策定に関する基本的な事項のほか、標準化の推進に関し必要な事項が定められている。
また、標準化基本方針は閣議決定を求めることとされ、標準化基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、全国知事会、全国市長会、全国町村会その他の関係者の意見を聴かなければならないとされ、閣議決定後の公表も義務付けられているほか、標準化基本方針の変更の際も、当該手続を準用することとされている。
今般の令和五年九月の改定に当たっても、同法同条に基づき、関係行政機関として内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)、個人情報保護委員会、財務省に協議を行うとともに、地方三団体に意見聴取が行われている。また、これらの法定協議に先立ち、地方公共団体の意見を丁寧に聴くため、標準化基本方針の案について、デジタル庁から全国の地方公共団体に対し、意見照会が行われている。主な意見等については改定の主な内容で触れるが、実際に標準準拠システムを用いて事務を行う地方公共団体からの意見をはじめ、標準化基本方針に基づき実施される施策や制度の運用に当たっては、これらの意見を十分に踏まえて対応することが必要である。
三 令和五年九月改定の主な内容