地方自治法施行令等の一部を改正する政令等について(財務関係)(『月刊 地方自治』2024年4月号)
ぎょうせいの本
2024.04.24
地方自治法施行令等の一部を改正する政令等について(財務関係)
総務省自治行政局行政課主査 城戸彩花
(『月刊 地方自治』2024年4月号)※2024年3月時点の内容です。
一 はじめに
地方自治法施行令等の一部を改正する政令(令和六年政令第一二号。以下「改正令」という。)及び地方自治法施行規則等の一部を改正する省令(令和六年総務省令第二号。以下「改正規則」という。)は、令和六年一月一九日に公布され、同年四月一日に施行するものとされた。今般の改正は、地方自治法の一部を改正する法律(令和五年法律第一九号。以下「改正法」という。)の施行に伴い指定公金事務取扱者及び公金事務の委託に関し必要な事項を定める等所要の規定の整備を行うとともに、東日本大震災(平成二三年三月一一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。以下同じ。)による被害を受けた地方公共団体における公共工事に要する経費について、前金払をすることのできる割合の特例を定めた規定を削除することを内容とするものである。
改正法は、第三三次地方制度調査会(会長:市川晃住友林業(株)代表取締役会長、副会長:大山礼子駒澤大学教授)がとりまとめた「多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申」(令和四年一二月二八日)や、令和四年の地方からの提案等に関する対応方針(令和四年一二月二〇日閣議決定)及び令和二年の地方からの提案等に関する対応方針(令和二年一二月一八日閣議決定)を踏まえ、地方議会の活性化並びに地方公共団体の運営の合理化及び適正化を図るため、地方議会の役割及び議員の職務の明確化、会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給を可能とする規定の整備、公金事務の私人への委託に関する制度の見直し等を行ったものであり、令和五年五月八日に公布された。このうち、公金事務への私人の委託に関する制度の見直しに関する規定は、令和六年四月一日に施行されたところである。
本稿においては、改正令及び改正規則の内容のうち、指定公金事務取扱者及び公金事務の委託に関する事項と、公共工事に要する経費について地方公共団体が前金払をすることのできる割合に関する事項のそれぞれについて、改正前の制度や改正の契機を改めて振り返った上で解説することとしたい。また、改正令及び改正規則の公布に合わせ、総務省から各地方公共団体に対し、「地方自治法施行令等の一部を改正する政令及び地方自治法施行規則等の一部を改正する省令の公布及び施行について(令和六年一月一九日総行行第三六号・総行福第八号総務省自治行政局長通知)」が発出されているので、適宜参照されたい。なお、文中、意見に係る部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りしておく。
二 指定公金事務取扱者及び公金事務の委託に関する事項
1 改正法による改正前の制度の概要
まず、改正法による改正前の制度について説明しておきたい。地方公共団体は、地方自治法(昭和二二年法律第六七号。以下「法」という。)第二四三条において、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、公金の徴収若しくは収納又は支出の権限を私人に委任し、又は私人をして行わせてはならないこととされていた。その上で、改正令による改正前の地方自治法施行令(昭和二二年政令第一六号。以下「旧地方自治法施行令」という。)第一五八条第一項各