地方自治法施行規則等の一部を改正する省令について(議会に関連する手続のオンライン化関係)(『月刊 地方自治』2024年4月号)
ぎょうせいの本
2024.04.25
地方自治法施行規則等の一部を改正する省令について(議会に関連する手続のオンライン化関係)
総務省自治行政局行政課行政第二係長 鈴木一駿
(『月刊 地方自治』2024年4月号)※2024年3月時点の内容です。
一 はじめに
令和四年一月に発足した第三三次地方制度調査会(会長:市川晃住友林業(株)代表取締役会長、副会長:大山礼子駒澤大学教授)においては、デジタル化の進展や、新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえ、国と自治体及び自治体相互間の関係などについての諮問を受け、この諮問に沿った審議項目に基づいて調査審議が進められるとともに、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会からの要望を踏まえ、地方議会の位置付けや議員の職務の明確化、多様な層の住民の議会への参画につながる環境整備など地方議会のあり方についても調査審議が進められた。
本調査会において、多様な人材が参画し住民に開かれた議会の実現に向け、デジタル技術の活用の必要性などについて積極的な議論がなされた上で、令和四年一二月二八日に「多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申」(以下、「議会答申」という。)がとりまとめられた。この答申においては、多様な住民が議会に関わる機会を広げる観点や、議会運営の合理化を図る観点から、住民の議会に対する請願書の提出や、議会から国会に対する意見書の提出など、住民と議会、議会と国会等の間で行われる手続について、これをオンラインで行うことを可能とするべきとの提言がなされたところである(資料1)。
これを踏まえ、議会に関連する手続のうち地方自治法(昭和二二年法律第六七号。以下「法」という。)の規定において書面で行うこととされているものについて、当該規定にかかわらず、オンラインで手続を行うことを可能とすることを内容の一つとする地方自治法の一部を改正する法律(以下「令和五年改正法」という。)が立案され、第二一一回通常国会に提出された。その後、衆議院、参議院における審議を経た上で、令和五年四月二六日に参議院本会議において可決・成立し、同年五月八日に令和五年法律第一九号として公布され、去る令和六年四月一日に施行されたところである(資料2)。
今般の地方自治法施行規則(昭和二二年内務省令第二九号)の改正は、令和五年改正法において、議会に関連する手続をオンラインで行う場合の具体的方法を総務省令で定めることとされたことを踏まえ、所要の規定を設ける改正を行ったものである。
本稿では、議会に関連する手続をオンラインで行う場合の具体的方法を定めた地方自治法施行規則等の一部を改正する省令(令和六年総務省令第二号。以下「改正規則」という。)について、改正の契機となった議会答申や令和五年改正法の内容を改めて振り返った上で、改正規則の内容を逐条的に解説することとしたい。なお、文中、意見に係る部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りしておく。
二 令和五年改正法による改正前の制度の概要
まず、令和五年改正法による改正前の制度について説明しておきたい。行政機関等に対する申請や行政機関等が行う処分通知などの法令上の手続のうち、書面等により行うことが求められているものについては、情報通信技術を活用した行