人材育成・確保基本方針策定指針の策定について(『月刊 地方自治』2024年2月号)
ぎょうせいの本
2024.04.22
人材育成・確保基本方針策定指針の策定について
総務省自治行政局公務員部給与能率推進室課長補佐 神山道彦
(『月刊 地方自治』2024年2月号)※2024年1月時点の内容です。
一 はじめに
昨年一二月、総務省は、地方分権時代に合わせて平成九年に策定した「人材育成基本方針策定指針」(以下「H九国指針」という。)を全面的に改正し、各地方公共団体が人材育成の目的、方策を明確にした「人材育成基本方針」を改正等する際の新たな指針として、「人材育成・確保基本方針策定指針」(以下「新指針」という。)を策定した。これは、およそ二六年ぶりの改正となる。
改正の背景には、少子高齢化の進展・生産年齢人口の減少、デジタル社会の進展等、地方公共団体を取り巻く状況が大きく変化していることや、今後、若年労働力の絶対量が不足し、経営資源が大きく制約されること等が想定される中、複雑・多様化する行政課題に対応する上で、各地方公共団体における人材育成・確保の重要性が従前にも増して高まっていることが挙げられる。
地方行政を支える職員をどのように育成・確保していくかは、地方行政の将来を決める極めて重要な要素であり、本稿では、H九国指針の改正に至った経緯に触れた上で、今回の改正内容の概観についてご紹介する。なお、文中意見に渡る部分は筆者の私見である。
二 地方公共団体における人材育成
地方公共団体における人材育成については、これまで、地方分権改革を背景としたさらなる行財政改革推進のために、平成九年に発出された「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針の策定について」(平成九年一一月一四日付け自治整第二三号、自治事務次官通知、以下「行政改革推進指針」という。)において、各団体は、長期的かつ総合的な観点で職員の能力開発を効果的に推進するために、人材育成の目的、方策を明確にした「人材育成基本方針」の策定が求められ、さらに、「地方自治・新時代における人材育成基本方針策定指針について」(平成九年一一月二八日付け自治能第七八号、公務員部長通知)において、基本方針を策定する際に留意・検討すべき事項が参考として提示されたところである。