財政課の1年
財政課の1年 8月編 はじめて財政課に配属されたあなたへ!8月の業務をおさらい!
ぎょうせいの本
2023.08.01
本記事は、月刊『地方財務』2022年8月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
「二八」という言葉があります。これは、2月と8月には商業活動が低調になることを示す表現です。役所全体としても、年度末が近い2月はさておき、8月は比較的業務に余裕がある所属が多いと思います。2020年は先の見えないコロナ禍の真っ只中、2021年は東京オリンピック・パラリンピックの開催と異例の2年間となりましたが、2022年は穏やかな夏になるでしょうか。
4月に財政課に異動してこられた方にとっても、そろそろ「感じ」がつかめてきている頃かと思います。財政課はこういう具合に情報を仕入れているんだ、財政課はこういう考え方をするんだ、ということがわかってきたのではないでしょうか。少しずつ、財政課としての「ふるまい方」も板についてきたはずです。
働き方改革の中で、夏休みの取得日数を数値目標の一つとしているところもあると思います。業務の状況に合わせてではありますが、どのみち冬は忙しいわけですし、夏休みはしっかり取るようにしたいものです。まとまった休みを取り、旅行でリフレッシュするもよし、読みたかった本をまとめ読みするもよし、ただのんびりするもよしでしょう。秋や冬に備えてたっぷり充電しましょう。
統一的な基準による財務書類の作成
この時期に行う業務としては、「決算統計」「健全化判断比率の算定」に続き、「統一的な基準による財務書類の作成」があります。もちろん、通常の決算事務もありますから、決算関係の仕事をあれもこれもやっている感じかと思います。
健全化判断比率については、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」という法的根拠がありますが、財務書類の作成は法に義務付けられたものではありません。2015年1月に総務大臣により出された通知において「統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用されるよう特段のご配慮をお願い」されたに過ぎません。
しかし、2021年に総務省が行った調査によれば、87%の自治体が整備済み、11%の自治体が整備中とのことですから、98%に上る自治体が取り組んでいるということになります。
このように全国的な取組となった新公会計制度ですが、もともとの目的は概ね以下のとおり整理できると思います。
・現金主義会計では見えにくいコストやストックを把握することで中長期的な財政運営に活用する ・固定資産台帳の整備を前提とすることで公共施設等のマネジメントに活用する ・統一的な基準による財務書類等によって団体間での比較可能性を確保する
財務書類の作成については、提出期限といったものが定められているわけではないので、いつ完成させるのかは各自治体に任せられていることになります。ただし、作るだけではなく次年度予算に活用することを考えれば、夏の間に作業を進めるのが得策でしょう。逆に言えば、次年度予算に活用することを念頭に置かないのであれば、
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