公務員が読みたい今週の3冊
公務員が読みたい今週の3冊【ビジネスと人権/不当要求行為対応/学校がつまらない】
NEWキャリア
2025.02.18
今週、何読む?
読書の習慣をつけたいと思いながら、まだ始められていない…。
日々読書を嗜んでいるが、そろそろネタ切れ…「次は何を読もうか」検討中。
そんな公務員の方はいませんか?
「公務員なら読んでおきたい」業務に役立つ必携図書や、「公務員の皆様が楽しく読める」おすすめ図書をガバナンス編集部がピックアップ。毎週2~3冊をご紹介します。
「今週読みたい図書」の選定にぜひお役立てください。
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“「人権」とは何か”
この問いに、あなたはどう答えますか?
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「人」から考える「ビジネスと人権」
湯川雄介・著
有斐閣/2,500円+税
著者は「ビジネスと人権」の分野に取り組む弁護士。このテーマについて講演等をする中で、企業担当者の「腹落ち感」のなさや消極的な姿勢を感じ、本書の執筆に至ったという。
本書が取り組むのは①なぜ企業は人権を尊重しなければならないのか②人権尊重の際なぜ求められている行動をとらなければならないのか、という根本的/方法論的な2つの問い。これらを深掘りするうえで著者は「人から見る」を徹底し、人権侵害がもたらす損害を企業の不利益ではなく、人への負の影響から考えるべきと強調する。「人権」の基礎から、理解の深化につながる文献情報やコラムまで豊富に掲載されており、企業家でなくとも大いに参考になるだろう。リスク管理の項目などは、特に目をとおしておきたい内容だ。
実際に起こった事例をもとに
全体・部門ごとの対応が学べる!!

昨今「カスハラ」が社会問題化しているが、地方自治体などの公的機関にも不当な要求をするクレーマーが後を絶たない。「反社会的勢力」から「住民」へと不当要求者が変化しており、その対応も「排除、阻止」から「共助、共生のための解決」になっている。
本書は、実際に地方自治体の現場で対応している著者らが、リスクを回避し、法的解決に導くための対応をまとめている。基本編は76のQ&Aを部門ごとに、応用編は特に対応を間違えないための12の課題をケーススタディとしてまとめている。最後には資料編として、「クレーマーチェックシート」と「苦情・クレーム対応マニュアル」を巻末に掲載した。
現場で右往左往せず対応するためにも、全庁的に共有していただきたい。
息詰まる教室の中で
子どもたちは何を訴えているのか
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ルポ
学校がつまらない
公立小学校の崩壊
小林美希・著
岩波書店/2,400円+税
不登校の小中学生は2023年度、34万人余りにのぼり過去最多となった。国の施策として「学びの多様化」が進められ、子どもと保護者が学校以外の場を選びやすくなったことも背景にあるだろう。
子どもたちは学校で何を経験し、なぜ学校を離れるのか。本書は公立小に焦点を当て、統計数字だけでは決して見えてこない教育の実相を追求する。著者はジャーナリストとして雇用問題や貧困・格差などの課題を追ってきた。本書でも児童・教師・保護者の間で生じる様々な歪みに迫り、格差の再生産につながるような公教育の硬直性に警鐘を鳴らす。
特に「規格化される教育現場」の章で描写される子どもたちの姿は必読だ。目をそらしてはいけない教室のリアルがここにある。