リーガルテック活用の最前線―第1回 デジタル・フォレンジックとは(『リーガルテック活用の最前線―AI・IT技術が法務を変える』より)

キャリア

2020.10.20

リーガルテック活用の最前線―第1回 デジタル・フォレンジックとは (㈱FRONTEO編著/弁護士ドットコム㈱・櫻庭信之著『リーガルテック活用の最前線―AI・IT技術が法務を変える』より)

新聞や雑誌でも報じられているように、近年のリーガルテック分野の発展は目を見張るべきものがあります。このたび、(株)ぎょうせいは、リーガルテック活用の最前線―AI・IT技術が法務を変えるを発売開始します。リーガルテックの最新動向から企業内不正調査、知財調査業務、契約業務など具体的な活用事例まで、さまざまな具体例を示しながら、わかりやすく解説する書となっています。第1回は本書第2章から「デジタル・フォレンジック」の部分を抜粋してお届けします。

1  デジタル・フォレンジックとは

 フォレンジックとは、「犯罪科学の」「科学的犯罪捜査の」「法医学的な」といった意味をもつ。コンピュータや電子機器媒体、電磁的記録(電子データ)に対しての調査・解析やそれらに係る手続や手法のことを「デジタル・フォレンジック」や「コンピュータ・フォレンジック」とよぶ。警察白書では「犯罪の立証のための電磁的記録の解析技術及びその手続」と定義され、コンピュータ等の記録媒体から情報を抽出し、法的手続のために証拠化する技術でもあるといえる。

 また、特定非営利活動法人デジタル・フォレンジック研究会によれば、「インシデントレスポンス(コンピュータやネットワーク等の資源及び環境の不正使用、サービス妨害行為、データの破壊、意図しない情報の開示等、並びにそれらへ至るための行為(事象)等への対応等を言う。)や法的紛争・訴訟に対し、電

 磁的記録の証拠保全及び調査・分析を行うとともに、電磁的記録の改ざん・毀損等についての分析・情報収集等を行う一連の科学的調査手法・技術」を、総じてデジタル・フォレンジックとよんでいる(特定非営利活動法人デジタル・フォレンジック研究会ウェブサイト〈https://digitalforensic.jp/〉)。

2  デジタル・フォレンジックの目的

 デジタル・フォレンジックの目的は、犯罪・不正の証拠として押収された紙媒体の資料や物証がデジタルデータに変わっただけで、「事件・不正を解明・解決する」ことに変わりはない。

 まず、①事件・不正の道具として用いられているかを調査し、加害の直接対象であるという事実解明を行う。加害の対象とは、不正を行った者がパソコン等のデジタル・デバイスを不正を行うためのツールとして使用した事実をいう。たとえば、意図的な情報漏えいを行った可能性のある人物のパソコンやスマートフォンなどを調査し、情報漏えいのツールとして使ったという事実を発見することである。

 次に、②事件・不正のターゲットは何か、被害の直接対象の事実解明が目的となる。たとえば、不正メールを受信し、そこに添付されたファイルやURLにアクセスすることで、パソコンがマルウェアに感染し、そのために企業内ネットワークの情報を収集されてしまうケースがある。このような事案におけるマルウェアに感染したパソコンを調査して、当該端末から情報が持ち出されていないか、どのような被害を受けたのかを解明する。また、犯罪捜査においては、殺人事件の被害者の持っているパソコンやスマートフォンなどを調べることによって、なぜ犯罪に巻き込まれたのかを調査する。あるいは、被害者のSNSを確認し、どのようなコミュニティに参加していたかや、その中で犯罪に巻き込まれた可能性を調べ、被害の事実解明を行う。

 また、③事件・不正の解明・解決につながる証拠が含まれているかを調査し、加害・被害の間接的証拠が含まれていることの事実解明を行う。デジタル・デバイスは、犯罪をした側、された側のどちらにも関連するので、加害側・被害側いずれの立場にかかわらず、フォレンジック調査によって情報収集ができる。

本稿は、(株)FRONTEO編著/弁護士ドットコム㈱・櫻庭信之著『リーガルテック活用の最前線―AI・IT技術が法務を変える』の一部を抜粋したものです。

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

AI・IT技術で何ができるのか、業務はどう変わるのか?法曹関係者、企業法務担当者が知っておくべき内容を1冊に

オススメ!

リーガルテック活用の最前線 ―AI・IT技術が法務を変える

2020年10月 発売

本書のご購入はコチラ

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中