相手を動かす話し方 第3回 会議で発言を求められたら

NEWキャリア

2019.07.26

相手を動かす話し方
第3回 会議で発言を求められたら

(月刊『ガバナンス』2008年6月号)

 田中君は、新しい職場にも慣れ積極的に仕事に取り組み始めた。ところが、今、ひとつの悩みがある。それは、職場の会議に出席することだ。

 定例会議や部内会議に出席しても、何をどう発言して良いかわからず黙っていることが多い。手を挙げて発言してみようとは思うものの、「とんちんかんな事を言ってしまうのでは…」とか、「間違った発言をするのではないか」などと、躊躇しがちである。たまに司会者に発言を求められても、頭を掻きながら「特に意見はありません」とお茶を濁してしまう。

 

意見を述べなければ会議に参加する意味はない

議論の交わされる会議

 会議は、いろいろな立場の人たちが集まり、議論をすることで成り立つ。特定の参加者が一方的に業務報告をするだけとか、一部の参加者しか発言をしないのであれば、人が集まって話し合いをする必要はない。会議は議論をする場だから、それぞれ参加者が意見を述べなければならない。

 問題を提起する、考えを述べる、アイデアを提案するなど、参加者が意見を述べることにより、より良い結論を導き出すことができる。また、異なった意見が飛び交い、意見と意見がぶつかり合ってこそ、創造的な議論になる。だから、波風を立てないでおこうとか、出る杭になりたくないなどと、黙っているのであれば会議に参加する意味はないだろう。

 ところが、「会議では意見を…」と言われても、そう簡単にできるものではない。会議で発言できない原因は、たとえば、準備をしてこなかったため話し合いの内容がよく理解できない、あるいは、自分の意見は間違っていないだろうかとか、人前で話をするのは恥ずかしいなどの心理的な阻害要因もある。

 もちろん、会議に参加する前には、しっかり準備をすることが必要だ。会議の目的、目標、議題などを熟読し、必要な情報を集めておく。そうすれば、自分なりの意見をもつことができる。

 それに、会議で発言するときに、「間違っていたらどうしよう…」と心配する必要はない。仕事を進める上では、正しい意見とか、誤った意見などはなく、意見は意見にしかすぎないからだ。より仕事を効率化する考え方とか、より仕事の効果を高めるアイデアなどと、相対的な判断はできるが、絶対的に誤った意見だとは評価できない。

 また、「人前で発言するのは恥ずかしい…」などと思うのも取り越し苦労だ。逆に言うと、議論するために集まっているのが会議だから、そこで発言をしないことの方が恥ずかしいはず。もし、会議で何も発言せずに、最初から最後まで黙っているだけなら、単に会議室の空気を汚しているだけになってしまう。

意見は結論から言う

 意見を述べるときの注意点を3つ挙げる。

①背景を長々と話さない

②結論から話し始める

③結論はひと言で言い切る

 たとえば、「そもそも、住民サービスを見直すことは…」などと、〝そもそも論〟を滔々と話す人がいる。あるいは、「先日、この件で係長と話し合ったときに…」などと、これまでの経緯や背景について延々と話す人もいる。このような人の発言を聴いていると、「この人は何を言いたいんだろうか」と、あれこれ推量を働かせなければならない。つまり、聴き手に聴く努力を強いる話し方だ。最後に結論を述べるころには、聴き手は疲れ切って聞き逃す可能性もある。あるいは、結論を言わずに発言を終えてしまう人もいる。

 会議で意見を述べるときは、〝結論〟から話し始めよう。昔から話は〝起承転結〟で組み立てるべきだと言われる。しかし、仕事で効率的かつ効果的に意見を伝えたいなら、「①結論→②理由→③結論」の3部構成で話を組み立てる。起承転結はもともと中国の漢詩で、情緒的な話や短い話には向いた構成だ。

 一方、3部構成は、伝えるべき〝結論〟を冒頭に述べ、その〝理由〟を説明し、そして、最後に再度〝結論〟で締めくくる方法。これはもともと、西洋の論理学における構成方法だから、論理的に意見を組み立て伝達するのに向いている。

 そして、結論はひと言で言い切るようにする。たとえば、賛成なら、まず、「その考え方に賛成です」とひと言で述べる。もし、反対なら、「その考え方に反対です」と述べ、自らの態度を明らかにする。そうでないと、聴き手にとってみれば、「この人は賛成なのか、反対なのか…」と宙ぶらりんの状態におかれる。あるいは、「住民の立場に立ったサービスが必要です」と、短くまとめて結論を述べる。それを、「自分の立場で物事を考えているケースが多く見られ、職場においても…」などと、だらだら話し始めると、話し手が何を言いたいのかわからなくなってしまう。

理由をコンパクトに説明する

 会議で発言するときに、結論から述べると、聴き手は「何故だろうか?」と疑問をもつ。その疑問に答える、つまり理由を述べることが必要だ。単に結論を述べるだけでは、人は納得しない。きちんと理由を説明することによって、聴き手は「なるほど」と理解し、「賛成しよう」と合意し、そして、「じゃ、そうしよう」と意図した行動を起こす。

 たとえば、「私の意見は…です」と結論を述べた後、「その理由は…」と続けて理由を説明する。しかし、ここでも同様に、だらだらと思いつくままに話をすると、また、聴き手に努力を強いる話し方になってしまうので気をつけたい。

 そこで、理由を3つにまとめ、「その理由は3つあります。1つ目は…」といった具合に話し始めよう。たとえ、理由がたくさんあっても、整理分類するとか、優先度や重要度で絞り込むなどして、3つの項目にまとめるのがよい。話の内容が3つぐらいだと、聴き手は聴く意欲が湧いてくる。ところが、「その理由は15あります。1つ目は…」とすると、聴き手はうんざりして聴く意欲をなくしてしまう。

〝多くの情報を与えようとすると、聴き手は聴く意欲をなくし、多くの情報を与えると、聴き手は混乱する〟というセオリーを無視してはいけない。コンパクトはインパクトだ。

 3つの理由を説明した後、再度、結論を述べて発言を締めくくる。つまり、意見を述べる場合、まず、「私は…と思います」と結論を述べ、「その理由は3つあります。1つ目は…」と理由を説明し、最後に「ですから、私は…と思います」といった具合に組み立てる。

 聴き手は最初に話されることに最も注意し、最後に話されることを記憶に残す。会議で発言を求められたら、「①結論→②理由→③結論」の3部構成で意見を述べよう。

 

著者プロフィール

八幡 紕芦史(やはた ひろし)

経営戦略コンサルタント
アクセス・ビジネス・コンサルティング(株)代表取締役、NPO法人国際プレゼンテーション協会理事長、一般社団法人プレゼンテーション検定協会代表理事。大学卒業とともに社会人教育の為の教育機関を設立。企業・団体における人材育成、大学での教鞭を経て現職。顧問先企業では、変革実現へ、経営者やマネジメント層に支援・指導・助言を行う。日本におけるプレゼンテーションの先駆者。著書に『パーフェクト・プレゼンテーション』『自分の考えをしっかり伝える技術』『脱しくじりプレゼン』ほか多数。

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