会議の技術 第6回 会議で論理的に発言するには

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2019.07.29

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第6回 会議で理論的に発言するには

(月刊『ガバナンス』2009年9月号)

 最近、田中君は外部の人を交えた会議に出席することが多くなった。多種多様な人たちが集まり、真剣な議論が繰り広げられる。

 そんな雰囲気の中でも、田中君は臆せす発言しようとするが、なかなか理解してもらえない。周りの人たちは、わかったようなわからないような表情をしている。

 きちんと説明できないせいかもしれないが、発言の途中で何度か質問をされる。一所懸命に答えようとするが、どうもピントがずれているように思う。さて、田中君はどうすればいいのだろうか。

 

結論を探しながら話す問題

 もし、「何か意見はありませんか」と促され、その場で思いつきの発言をすると、周りの人は、その内容を理解できない。そして、思いつきの意見に、他の参加者がつられて、さらに思いつきの意見を述べる。

 たとえば、「この街路樹の撤去について、田中さん、何か意見はありませんか」と議長が言った。「えっ、あっ、それはですね。街路樹の撤去も重要ですが、そもそも交通量が多い交差点で問題になるのは…、つまり、道路行政が…」と思いつくまま意見を述べた。それを聞いた他の参加者が、「いや、見通しの悪い道路の問題はですね…」と、全く違う方向に議論を展開した。

 この後の議論の行方は想像に難くない。議題からかけ離れたところに着地する。そして、「そもそも、この会議は何を話し合うんでしたっけ?」と目的を見失ってしまう。

 多くの参加者は、思いつくまま話を始める。その典型は、背景や経緯を話しながら、自分の意見をまとめようとすることだ。これでは結論に到達するまでに、多くの参加者は疲れ切って、居眠りを始めるだろう。

 もういい加減にしてよと思う頃に、「つまり、私といたしましては…」と、結論らしきものを話し始める。参加者は、結論を聞き漏らさないようにと、少しばかり緊張するが、「さらに、この問題については…」と、またまた話が素通りしてしまう。

 結論がある発言はまだいい方で、「…と言われることがあります」と、結論がなく、肩すかしを食らって、いきなり発言が終わってしまうことも多い。

 このような問題が発生する原因は、結論を探しながら話し始めるからだ。「ええっと、それはですね」と言いながら、頭の中で結論を探し始める。「つまり、その問題の背景は…」と言いながら、自分は何を言いたいか考えながら話す。「一般的に言われていますように…」と言いながら、何とか結論を引っ張り出そうとしながら話す。

 会議の参加者全員が、このような発言をするなら、いくら時間があっても足りない。それに、この議論はどこまで続くのか、どこに着地するのか、だれにもわからない。

発言は結論から始める

 会議で発言するときは、結論から始めることだ。たとえば、「何か意見はありませんか?」と発言を促されたとしよう。そのときは、「この問題を回避するためには、しっかりした業務手順書を作成することだと思います」と、結論から発言する。

 そうすれば、参加者は発言者の意図を正確に理解できる。誤解することもなければ、議論があらぬ方向にいってしまうこともない。

 発言は結論から述べなければならないことは、百も承知だ。あるいは、言われてみれば当然だ、とだれもが思う。しかし、結論から言えない。あるいは、結論から言うべきこと自体を忘れてしまう。なぜだろうか。
 多くの人は、結論から言うと誤解されるかもしれない、と思う。しかし、結論を言う前に、ごちゃごちゃ言えば言うほど、誤解される可能性が高い。

 あるいは、結論から言うとストレートすぎて相手が気分を害するのでは、と思う。しかし、結論を誤魔化すなら別だが、回りくどい言い方をされる方が気分が悪い。気持ちよく議論をしたければ、結論から言うべきだ。

 また、あまり白黒をはっきりさせたくないから結論から言いたくない、と思う。しかし、玉虫色にしておきたいと思うなら、発言しないことだ。いや、そもそも会議に出席しないことだ。玉虫色の意見を言うから、議論にならない。非生産的な会議の原因がここにある。

 さらには、会議に出席して意見を求められても、言うべき結論はない、と思ったり、自分が関わっている仕事に対して、何の問題意識もなく意見もないなら、そもそもその仕事をしないことだ。

 会議に出席しても、自分の意見がない。つまり、結論がない。もし、そうなら、会議に参加する必要はないし、会議を開く必要もない。

結論には理由を説明する

 発言は結論から述べる。いろいろと言いたいことがあれば、それは結論を述べた後で思う存分に話せばいい。発言の冒頭で周辺のことばかり話していると、周りの人たちは、発言者は「何を言いたいのかわからない」という評価をする。

 それに、たとえ意見に結論があっても、筋の通った話でなければ、周りの人たちは理解できない。つまり、その結論が正しいのか、聞くに値する意見なのか、採用すべき発言なのか、わからないわけだ。結果的に「よくわからない意見だ」と評価し却下される。

 単なる思いつきの話、情緒的な意見、筋が通っていない発言、これらは円滑な会議を阻害する要因だ。結論を述べて、結論を論理的に証明する発言をすれば、それだけでも会議の生産性は劇的に改善される。

 これからは、会議で発言する場合、結論から話し始めよう。たとえば、「私は、住民からの信頼を獲得するのは、まず、経費の削減から始めるべきだと思います」などと。

 ただ、その後、「以上」と言って、ほったらかしにしてはいけない。その理由を説明することだ。たとえば、「と言うのは、住民の不満は、予算のムダ遣いが…、たとえば、昨年度の報告では…」などと。そうすれば、周りの人たちは、発言内容を正確に理解できる。

 このときの注意点は、「意見」には「事実」で裏付けを示すことだ。「…と思います。なぜなら、…という事実があるからです」などと発言する。意見だけを述べるのであれば、単に自己主張が強い発言だと思われてしまう。逆に、「…という事実があります。ですから…と思います」などと、「事実」には「意見」を述べ、論理的に話を組み立てる。そうすれば、発言内容がわからない、ということにはならない。

 理由を述べた後、最後に再度、結論で締めくくる。「ですから、経費の削減から始めるべきです」と。つまり、発言は「結論→理由→結論」で組み立てることだ。「…です」と結論から始め、「というのは…」で理由を述べ、そして、「ですから…」で、再度、結論で締めくくる。これを口癖にすると、発言内容は飛躍的にわかりやすくなる上、頭脳明晰な人だと評判になるだろう。

著者プロフィール

八幡 紕芦史(やはた ひろし)

経営戦略コンサルタント
アクセス・ビジネス・コンサルティング(株)代表取締役、NPO法人国際プレゼンテーション協会理事長、一般社団法人プレゼンテーション検定協会代表理事。大学卒業とともに社会人教育の為の教育機関を設立。企業・団体における人材育成、大学での教鞭を経て現職。顧問先企業では、変革実現へ、経営者やマネジメント層に支援・指導・助言を行う。働き方改革への課題解決策として慣習の”会議”から脱皮を実現する鋭い提言で貢献。著書に『会議の技術』『ミーティング・マネジメント』ほか多数。

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