キャリアリスクに直面したら……

NEWキャリア

2019.04.05

知っておきたい危機管理術 第34回 キャリアリスクに直面したら……

『地方財務』2017年10月号

 現在、国では、一億総活躍社会の実現に向けて「働き方改革」に注力しており、本年3月にはその実行計画案が提示されました。その骨子として「非正規の処遇改善」「賃金引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」「子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労」「外国人材の受入れ」等々があげられ、テレワークの導入支援や副業・兼業の推進、女性のリカレント教育支援といった具体項目が示されています。

 働き方改革には、従来の日本的な企業文化や社会風土を変え、多様な働き方を可能とすることで、閉塞感のある社会や格差の固定化といった社会の不満を解消させ、成長と分配の好循環を図る狙いがあるものです。

働き方改革の意義

 では、こうした働き方改革は、働く個々人にとってどのような意義を持つでしょうか。多様な働き方が可能になり、働きやすい職場が増え、自己実現も図れ、社会全体も人口減の中で成長と活性化が維持できるのならば、まさに明るい大いなる意義を持つわけです。

 日本の会社は、高度成長期に“居心地の良い、ゲマインシャフト(地縁・血縁集団)化したゲゼルシャフト(利益集団)”として発展してきました。しかし、バブル崩壊とその後の「失われた20年」を経て、ゲマインシャフトの要素を失い、個人と敵対するものとしてのゲゼルシャフトに装いを改めてしまったように考えられます。

 その過程で生じた「勝ち組」「負け組」や非正規雇用の拡大を経て、一方ではネット社会の進展を背景にユーチューバー等の新たな職業を生み出すなど、課題や矛盾を抱えながらも、すでに多様な働き方は同時進行しています。普通に企業や組織で働いていても、キャリアに関して常に危機が生じることは誰でも認識し、経験することです。また、AIやフィンテック、IoTという新技術の台頭の中でいつ自分の職場・職種・職業がなくなるか、ということも先読みしなければなりません。

キャリアリスクに対処する具体策

 では、大きな意味で個々人の「キャリアリスク」という危機に対処するには、具体的に何をしたらよいのでしょうか。

ライフデザイン力を持つ

 第一に、ライフデザイン力を持つことです。いわば自分を「持株会社」に置き換えてみる発想です。

 持株会社とは、スピーディな企業再編手法のひとつであり、異なる企業間の方針や風土を徐々に融合するのに有用です。「自分を持株会社に置き換える」ということは、会社と社員という関係を「唯一絶対」と考えないということであり、他会社との兼職、ベンチャー企業への監査役としての参加、ボランティア事業への参画など、自分と社会とのいくつものかかわり方や活動形態を客観的にコントロールし、「自分」という全体事業からみてひとつの活動が全体に寄与しているかどうかを常に監視・調整し、一方では自ら執行するということです。

 すでに多くの方が、地域社会とのつながりや趣味のサークル等を通してそうした行動を意識せずとも取っているでしょう。「キャリア」という観点では、自己把握しながら行うことに意味があります。

メンタルタフネスの獲得

 第二に、メンタルタフネス(精神的な強靭さ)の獲得です。

 メンタルタフネスは、キャリアリスクをマネジメントするために欠かせないもので、ある研究によれば、「自己志向」が高い、つまり自分の価値観に沿って自律的で臨機応変に対応できる人は健康であることが示唆され、職務遂行上のストレスも低く、精神健康度も高いとされています。

 メンタルタフネスを身につけるためには、まず、自分のキャリアにおけるリスクを抽出し、あらかじめリスクの所在を頭の中に認識してしまうこと(「未知のリスクへの恐怖」を「理解したリスク・知っているリスク」に変えること)です。これが、予防としてのリスクマネジメントになり、危機が生じた際の危機管理になります。

経験を重ねる

 加えて、経験を重ねることです。これは様々な想定訓練を行うことで、危機に遭遇した際に自分がどのような心理状態になるのかを体験しておくことが大切です。安全安心が必須の業界では、アニメーションで社員に疑似体験させ、自分が事故にあったときにどうするかを体感させたり、劇薬物に触れることで過去の事故を再現し、「危険」を体で覚えさせたりする研修がなされています。個人レベルで「いざという時」に備えた方法で、対応技術と共にメンタルタフネスを鍛えています。

 *

 働き方改革を是非自分の日常に重ね、キャリアリスクマネジメントしていきましょう。

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