ここまですごい!最近の自治体の防災マニュアルとノウハウの活用法

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2019.04.12

知っておきたい危機管理術 第23回 災害時危機管理のノウハウとその生かし方

『地方財務』2015年12月号

 未曽有の大災害を経験して「この程度の準備をしておけばよい」という楽観論が許されなくなっている。災害は確実にやってくる。時には「想定外」の規模で襲ってくる。運命論者になって、その時は「あの世に行くまでだ」と達観している人がいる。しかし、泥臭くても、何かにしがみついてでも、まず、自分の命を守ることを最大限考えるべきである。起こったら何をするのか、身近なものをいかに利用するのか、その時、その場にいる人とどのように協力するのか、有効性のあるノウハウが多く提供されている。

防災マニュアルを活用しよう!

 多くの自治体で防災マニュアルが配布されている。内容に工夫を加え、わかりやすく洗練されてきてもいる。

 東京都も2015年9月、「東京防災」という300頁余のマニュアルを都民に配布した。しかしながら、私の周囲で聞く限り、ほとんどの人が見ていない。内容がわかりやすく、理解しやすいのに大変残念である。

 少し紹介すると、自宅にいた場合には、リビング・キッチンでは、身を守ることが最優先、テーブルの下に隠れる、火の始末は揺れが収まった後に行う、ドアを開けて避難経路を確保するなど。2階にいたら、あわてて1階に下りない、浴室では洗面器などを頭にかぶりすぐに浴室から出る、閉じ込められたら、大声を出し続けると体力を消耗するため、硬い物でドアや壁を叩き大きな音を出す。

 外出先の場合には、オフィスでは、物が落ちてこない・倒れない場所に身を隠す、繁華街では耐震性の高そうな鉄筋コンクリートのビルに逃げる、高速道路では、徐々にスピードを落とし、道路の左側に停車、トンネルでは、前方出口が見通せれば低速でトンネルを抜け、長い時には車を左に寄せ、キーをつけたまま、非常口から脱出するなどである。

 その他、簡易トイレや食器の作り方など、ノウハウのオンパレードである。

 防災マニュアルの内容は、地域の特性に応じてさまざまであるが、いかに危機から逃れ、避難誘導するかについては共通である。

 「まず、命を守る」ために、さまざまなノウハウがある。それを知っていたか否かで命が左右される。家族のレベルで話し合ってはどうか。家族が離ればなれになった場合に、○○小学校の大きな銀杏の木の下に集まる、情報を書いた紙を缶に入れてその木のある個所に埋めておく等である。

「想定外」の事態ではノウハウが命を救う

 どのようなリスク管理を行おうと「想定外」は起こり、そのたびに新たな危機に直面する。何の準備もされていないので、その場の人員と既存のノウハウで対処しなければならない。東日本大震災の体験によって「とにかく逃げること」の重要性は共有された。

 2015年も台風による大雨で鬼怒川が決壊した。多くの河川は堤防強化などに多くの予算が投下され、強化されているにもかかわらず、それを超える「想定外」の巨大災害が起こる。ハード面の強化には限界があるため、ソフト面としての危機意識が重要である。「とにかく早めに逃げて命を落とさない」ことである。その場しのぎの機転や既存のノウハウが命を救う。自然災害は長期間続かない。極端なことを言えば、2~3日生き延びれば何とかなる。実際に起こる災害に対してはまず、自らが助かるための努力をする。

最小限のノウハウを学ぼう!

 まずできることからやろう。地震の場合は、家具の転倒等によるけがを避けることが最優先である。そのための家具の転倒防止は欠かせない優先事項である。そして、最小限の災害時のノウハウを学ぶことである。例えば、消火の必要があっても天井が燃え始めたら逃げる。一酸化炭素などのガスからはできるだけ姿勢を低くして、濡らしたハンカチなどで口と鼻を覆い、一気に走り抜ける。視界が悪いときは壁沿いに避難する。このことが生死を左右する。地域の防災センター等で体験しておくとよい。出火がない時はガスの栓を閉めて避難する。

 パニック時、群衆なだれのような2次被害を起こさないための知識が必要である。人間の歩行速度は、消防法の想定では秒速1・5メートル(時速4キロ)である。つまり、集団で避難するときのもっとも適切なスピードは秒速1・5メートルということである。また、長さが60メートルを超える地下道では地上に通じる階段の設置が義務づけられている。つまり、地下街のどの場所からも歩行距離30メートル以下になるよう指示されているため、日本の地下街は30メートル行けば必ず出口があり、地上に出られる。30メートル、歩いて20秒で地上に出られることを知っていれば、安心感もありパニックを免れることができるであろう。

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