クレーム対応術

関根健夫

クレーム対応術 9 「聞いていない」と言われた場合の対処法

キャリア

2019.04.02

【コラム】一人で対応しない

チームワーク

 発言を簡単に撤回するタイプのお客さまに一人で対応すると、何かと「言った」「言わない」といった行き違いになりやすい。そうなると担当者としては責任を感じ、またストレスも溜まるだろう。クレームへの対応は組織で業務として行っているのだから、一人の職員が過度なストレスを感じる状況に陥るのは好ましいことではない。

 クレームに組織で対応するポイントは、複数の職員で対応することだ。複数の職員での対応の必要性については、例えば、恐怖や危険を感じたら人を呼ぶことだと、ポイント1のコラムでも解説している。

 本文で解説したような「言った」「言わない」といったトラブルになりそうなお客さまには、あらかじめ対応の準備をしておこう。つまり、「このお客さまには一人での対応を避けよう」などと複数職員での対応を申し合わせる。

 過去にトラブルを起こしている人であれば、始めから複数で対応してもよいし、実際にお客さまとの会話がトラブルに発展した段階で担当者が誰かを呼んでも、また誰かがさりげなく会話に加わってもよい。もちろん、事態を察した上司が、部下に指示を出して加わるように促すことも大切だ。

 お客さまはいつ来るかわからないので、とっさの判断をしなければならない時もあるが、普段から上司、同僚とであらかじめ話し合いや言葉がけをしておく。クレームに強い組織とは、組織図やマニュアルに頼る組織ではない、組織の皆が機転を利かせて判断し、動く組織だ。

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関根健夫

関根健夫

人材教育コンサルタント

1955年生まれ。武蔵工業大学(現、東京都市大学)卒業後、民間企業を経て、88年、アイベック・ビジネス教育研究所を設立。現在、同社代表取締役。コミュニケーションをビジネスの基本能力ととらえ、クレーム対応、営業力強化などをテーマに、官公庁、自治体、企業等の研修・講演、コンサルティングで活躍中。著書に、『こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル』『事例でわかる公務員のためのクレーム対応マニュアル 実践編』(ぎょうせい刊)。

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