クレーム対応術

関根健夫

クレーム対応術 3 相手を満足させる聞き方とイライラさせる聞き方の違い

キャリア

2019.03.21

【コラム】クレーム対応の会議を定例化する

会議の定例化

 クレームは、いつ、誰から持ち込まれるかわからない。また、同じ用件でも、人によって主張の仕方やニュアンスが違うので、同じ状況は二度とない。では、クレーム対応には準備ができないかというと、そうではない。

 多くの職場では、クレームで問題が起こった場合には当事者、関係者だけが話し合いを行い解決に導く。事態が収拾すると報告書を作成し、何事もなかったかのように元に戻る。これでは、当事者個人の経験にはなるが、組織としての経験値にはなりにくい。

 ポイント2で述べたとおり、メモ程度でもかまわないし正式なものでなくてもよいので、クレーム対応の記録を残しておきたい。別途、組織に報告書や記録の決め事があれば、もちろんそれでもよい。

 また、多く寄せられる案件、重要と思われる案件については、そのことを題材にして話し合いを持つとよい。クレームだけを取り上げる会議である。

 つまり「この案件が、他のお客さまから持ち込まれる可能性がある」「次の対応者は自分かもしれない」「次に来たらどうする」という感覚で話し合う。次回以降に同じお客さまが同じ案件で来訪された場合には、前回と統一した見解を示し、対応策を一致させることができる。

 これを、一般行政の窓口であれば、月に1〜2回、20〜30分程度行う。年間12 〜24 回、異動するまで3年とすると36〜72回できる。次に来たらどのように対応するか、現実味と興味が増しクレームに挑戦したい気にもなるだろうし、クレームを受けるストレスが軽減される。こういった話し合いの定例化が、職場のムード、風土を作る。

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関根健夫

関根健夫

人材教育コンサルタント

1955年生まれ。武蔵工業大学(現、東京都市大学)卒業後、民間企業を経て、88年、アイベック・ビジネス教育研究所を設立。現在、同社代表取締役。コミュニケーションをビジネスの基本能力ととらえ、クレーム対応、営業力強化などをテーマに、官公庁、自治体、企業等の研修・講演、コンサルティングで活躍中。著書に、『こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル』『事例でわかる公務員のためのクレーム対応マニュアル 実践編』(ぎょうせい刊)。

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