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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2024 月刊「ガバナンス」2024年12月号

NEW地方自治

2024.12.26

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2024年12月号)

●市長の退職金に反映するインターネット模擬投票を実施

 茨城県つくば市(25万2200人)は、2024年11月1日~11日に五十嵐立青市長の2期目の行政運営を評価するインターネット模擬投票を行った。11月16日の任期満了に伴う10月27日の市長選挙で3 期目の当選を果たした五十嵐市長の2期目の公約の進捗と実績について、インターネット模擬投票で市民に評価してもらい、投票結果を市長の退職金の金額に反映させる試み。また、市は公職選挙へのインターネット投票の導入を目指していることから、その機会を市民に提供することもねらいとして実施した。インターネット投票で市長の退職金額を決めるのは全国初となる。
 投票できるのは、署名用電子証明書機能を有するマイナンバーカードを所有する15歳以上の市民で、約13万人が対象となる。投票は、自身のスマートフォンに「つくスマ」アプリをインストールし、投票サイトにアクセスして行う。市長公約の進捗と実績について0~100点の間の10点刻みの点数で評価した後、マイナンバーカードの認証を行うと投票は完了する。スマートフォン不所持の市民も窓口センターで投票できるようにした。
 市長の退職金は、投票結果から評価率(平均点)を算出し、給料月額(92万7000円)に評価率を乗じて退職日給料月額を出して、それに勤続年数に応じた支給率(4年の場合は22)を掛けた金額とする。
 市長には1期(4年)ごとに退職金約2000万円が支払われるが、「退職金ゼロ」を掲げて初当選した五十嵐市長は1 期目の退職金受取額を22円とした。これに対する市民の賛否は五十嵐市長の肌感覚で半々くらいだったとし、2期目は肌感覚でなく市民の声を適切に反映するために投票を実施したという。投票の結果、1048人が投票し、評価率は0.627となった。それに基づき退職金額を決定する。
(月刊「ガバナンス」2024年12月号・DATA BANK 2024より抜粋)

●感染症発生状況見える化ダッシュボードの運用を開始

 静岡県(363万3800人)は、県内の新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症の発生状況をグラフなどで視覚的に表示する「見える化ダッシュボード」の運用を開始した。県感染症管理センターが県民や医療機関への情報発信や業務効率化の基盤として構築している情報プラットフォームのうち、匿名化発生届や病床利用状況のデータを活用してオープンデータベースとしてシステム化したもの。情報発信の強化を目的とし、県のホームページに掲載している。
 見える化ダッシュボードは、感染症の発生動向調査を自動的に集計し、全国や県内の発生動向を地域的・時系列的に俯瞰できる機能を備えており、直感的な操作と折れ線グラフや地図などの多彩なビジュアル表現によって様々な感染症の発生状況(例えば、複数の感染症の一定期間の患者数推移や地域別の発生状況、年ごとの流行状況など)を容易に把握できる。また、匿名化データをダウンロードして、閲覧者が任意に必要な加工を行って分析できるのも特徴。さらに、新型コロナ対応における保健所業務のひっ迫状況を踏まえ、データの一元管理による業務の標準化及び効率化を図るシステムである「感染症情報共有システム」の運用も2025年3月から開始する予定。

感染症発生状況見える化ダッシュボード

(月刊「ガバナンス」2024年12月号・DATA BANK 2024より抜粋)

●市職員OBなどを「災害時支援員」に登録する制度を創設

 茨城県笠間市(7万3800人)は、地震や風水害被害など大規模災害時における避難所での被災者支援や避難所運営、復旧支援などを円滑に行うために、「市災害時支援員登録制度」を創設した。公的機関等での勤務経験がある人や専門的技術を有する人を「災害時支援員」として事前に登録し、災害時の避難所運営などを担ってもらうというもの。同市職員が能登半島地震の被災地支援を行った際の教訓をもとに、災害時の人手不足を補うため、創設に至ったという。
 災害時支援員登録制度では、市内在住、在勤者等で、災害時に自らの安全確保後、災害対応に従事できる人や、自衛勤務した経験がある人、災害対応の知識や専門的技術がある人を募集し、事前に登録。災害時に避難所運営や支援物資の仕分けなどを担ってもらう。身分は会計年度任用職員で、市の要請で活動に従事した場合は報酬が支給される。
 2024年8月26日時点の登録者は32人。同日開催の発足式では、そのうち警察や消防等の出身者15人が参加し、支援員の登録証や帽子等を受け取った。市では、今後も災害時支援員の募集を続け、50人ほどまで登録を進めたいとしている。
(月刊「ガバナンス」2024年12月号・DATA BANK 2024より抜粋)

●高・大の高度連携で農林業の人材育成~府立高2校を府立大学の系属高校に~

 京都府(250万1300人)は、農林業や関連産業の振興に資する人材を育成するため、府立農芸高校と府立北桑田高校の2校を、2026年4月より京都府立大学と高度な連携関係を持つ「系属高校」とすることにした。農芸高は同大農学食科学部(農学生命科学科)と、北桑田高は同大環境科学部(森林科学科)と連携。農林業に寄与する人材の育成を目的として、地元の公立高校を公立大学の系属高校にする取組みは、全国初の試みとなる。
 系属高校とは、特定の大学と連携関係を持つ中等教育を行う学校で、大学を運営する学校法人とは別の学校法人等により運営される。連携する大学に対し、一般受験者と比べ優先的入学を認められる。
 府では、系属校を設置することで、高校・大学間の高度な連携による質の高い学びを実現し、知識と実践力の経験値を高め、教育内容の魅力向上を図ることで、府の農林業及び関連産業の振興に資する人材を育成することを目指していく。
 10月29日に、同大と府教育委員会との間で、系属高校の設置に関する協定の調印式が開催された。2025年9月頃には、両高校に関する2026年4月入学者募集定員を公表する予定。
(月刊「ガバナンス」2024年12月号・DATA BANK 2024より抜粋)

●市民大学が「グッドデザイン賞」を受賞

 静岡県藤枝市(14万2400人)が運営する「藤枝市民大学」が、「グッドデザイン賞2024」((公財)日本デザイン振興会主催)を受賞した。
 同大学は、“いつからでも学び、チャレンジできるまち”に向けて幅広い学びを提供し、地域社会・地域経済を担う「人づくり」を進めるため、市が2022年度に開学、2023年度から通年化により本格展開している地域大学で、学長は北村正平市長が務める。学生相互の勉強会など交流の場の創出、習得スキルを生涯にわたり証明する「学習歴のデジタル証明」の発行、資格取得者への「合格奨励金」の贈呈など、学びの実効性を高める仕組みを整えているのが特長。2024年度は3コース(一般教養/リカレント教育(学び直し)/資格取得・リスキリング)・56講座を展開し、16〜89歳の約500人の地域住民が学んでいる。
 今回の受賞に際し、審査委員からは、「定員を大きく上回る受講希望者が現れ、起業家が生まれるなど、実際に成果が出ている」「学びの場を提供する公共の機会は多くあるが、学びの起点とその継続に着目したこのプロジェクトは、他地域にとっても非常に参考になる」などの評価を受けた。
(月刊「ガバナンス」2024年12月号・DATA BANK 2024より抜粋)

●緊急性が認められない救急搬送者から選定療養費を徴収

 茨城県(287万9800人)は、救急搬送における選定療養費の運用を見直し、12月2日から、救急車を呼んだ時の緊急性が認められない場合に限り、対象となる大病院において選定療養費の徴収を開始する。
 選定療養費は紹介状を持たずに大病院を受診する場合に一定の負担を患者に求めるもので、2016年度に制度化された。ただ、救急車で搬送された患者は基本的に緊急性が高いものと見なされ、多くの病院では緊急性の有無にかかわらず徴収の対象外としている。県の2023年の救急搬送件数は14万件を超え、過去最多を更新。その6割以上が一般病床数200以上の大病院に集中し、そのうちの約半数は軽症患者であり、中には緊急性の低い患者も含まれている。2024年4月からは医師の働き方改革が始まり、これまで以上に医療現場がひっ迫し、救える命が救えなくなる事態が懸念されることから、県は、関係機関と協議を重ね、選定療養費を徴収する目安などを示した統一的なガイドラインを策定した。
 緊急性が認められない救急搬送者からの徴収は、一般病床数200以上の22病院が対象であり、軽度の切り傷や擦り傷など、緊急性の低い症状の場合、初診時に紹介状なしで受診した際に徴収する料金と同額(徴収義務のある医療機関は7700円以上/件、徴収が任意の医療機関は医療機関が設定する額)を徴収する。県では、県民に向けて「命に関わるような緊急時は迷わず救急車を呼ぶこと」「救急車を呼ぶか迷ったら、救急電話相談を利用すること」「明らかに緊急性が低い場合は、安易に救急車を呼ばす、地域のクリニック等を受診すること」を呼びかけるとともに、緊急性が認められない救急搬送患者からの選定療養費の徴収について、報道や県ホームページ、SNS、ポスター・チラシなどによる広報を集中的に実施して理解を求めていく。
(月刊「ガバナンス」2024年12月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

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