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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2024 月刊「ガバナンス」2024年9月号
地方自治
2024.10.04
目次
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(月刊「ガバナンス」2024年9月号)
●「災害記録共有アーカイブSORA」を開設
仙台市(106万7500人)は、インターネット上に「災害記録共有アーカイブSORA(ソラ)」を開設した。同市は災害文化の創造拠点となる中心部震災メモリアル拠点と文化芸術の総合拠点となる音楽ホールの複合施設の整備を進めており、SORAは開館後の活動を見据えた先行事業としてインターネット上で運用を開始したもので、Sendai Open Recording Archiveの略。
SORAでは、東日本大震災をはじめ、市内外のさまざまな災害の写真や映像、音声、ドキュメントを広く共有できるようにしており、登録された資料は地図上や年代、地震や風水害等の災害の種類、キーワードなどから検索して閲覧できるほか、アカウントを作成すれば誰でも簡単に写真や動画等の資料を登録できる。複合施設開館後は、アーカイブSORAを閲覧・利用できるスペースを施設内に設け、災害文化を創造・実装する基盤として活用していく。
また、アーカイブを活用した市民協働事業として、NPO法人主催で小中学生を対象とした防災について学ぶワークショップを6月~7月に市内2か所の小中学校で開催。小中学生が地域の防災の担い手としての役割が果たせるよう、アーカイブで災害発生時の状況を確認し、地域に暮らす高齢者・障害者・外国人等が災害時に抱える困難を予想して自分たちができる支援について考え、避難所の設計図づくりを行った。
(月刊「ガバナンス」2024年9月号・DATA BANK 2024より抜粋)
●生活保護業務にAIを導入
大阪府寝屋川市(22万7500人)は、生活保護業務に特化したAI支援サービスを導入した。
このAI支援サービスは、北日本コンピューターサービス㈱が開発した「WAISE(ワイズ)」で、生活保護業務において職員が実務上使用する6つの資料(生活保護法令、実施要領、課長通知、問答集、関係通知、運用事例集)を登載し、AIにより最適な情報や回答案を提示するもの。
従来は市民から相談や質問があった場合、職員が膨大な資料の中から関連情報を調べ出す必要があり、回答や決定に時間を要していたが、AI支援サービスの導入により、情報アクセスの迅速化と業務の効率化を実現した。
例えば、「通勤のために自動車を保有することは可能か」と入力した場合、自動車以外に通勤方法が全くないか、または自動車以外での通勤が極めて困難であるケースでは、保有が認められる、という内容が表示される。その根拠をもとに、収入認定について市としての取り扱いを決定する。
事例の記録も可能で、実践知や経験則が蓄積でき、ノウハウの継承という課題にも対応。新任の職員でも、素早く、簡単に必要な情報を見つけることができ、生活保護業務を迅速に進めることができる。
今回のAI支援サービスの導入によって、今まで資料調査に要していた時間を相談や訪問などに充てることができようになり、市民サービスの向上につながることが期待されている。
(月刊「ガバナンス」2024年9月号・DATA BANK 2024より抜粋)
●若手職員が子ども向け防災紙芝居を作成
京都府福知山市(7万6100人)は、親子で楽しめる子ども向け防災紙芝居『きみならどうする?』を作成した。市は「地域版防災マップ(マイタイムライン)」や「要支援者の個別避難計画」等を作成し、地域連携で防災対策に取り組んでいる。その一環として、子育て世代の防災意識を高めるため、地域包括ケア推進課、危機管理室、障害者福祉課、くりのみ園、子ども政策室が部署横断で「コドモト防災プロジェクト」を立ち上げて2023年から活動しており、紙芝居は保健師や防災士の資格を持つ子ども政策室の若手職員3人が中心となって作成したもの。
紙芝居は、市内の親子が大雨の降る前に車でスーパーの駐車場に避難する「大雨・車中泊避難編」と自宅の2階に避難する「大雨・垂直避難編」の2種類のストーリーがあり、車中泊避難編では、市と駐車場を避難場所として利用することを定めた協定を結んでいる大型商業施設の協力を得て、地元ならではの情報を盛り込んだ。5月27日には若手職員による読み聞かせ会を市内で開催し、参加者からは「子ども連れ避難の参考になった」「(車中泊避難ができる)実際の店が出てきて、想像しやすかった」と好評を博した。紙芝居は市のホームページとYouTubeで公開している。
市は過去から頻繁に洪水や土砂災害による被災を経験していることから、“誰一人取り残さない防災”の実現を目指し、今後もさまざまな防災対策に力を入れていきたいとしている。
(月刊「ガバナンス」2024年9月号・DATA BANK 2024より抜粋)
●土木技術員・建築技術員の「初任給調整手当」を新設
松江市(19万7800人)は、土木技術員・建築技術員の「初任給調整手当」を新設し、2025年度から支給する。市では近年、土木技術員・建築技術員の早期退職者が増加。また、他自治体・民間企業との人材獲得競争の激化により、採用試験を実施しても両技術員の応募者が集まらない状況で、2023年度採用試験では、社会人も含めて土木技術員4人、建築技術員10人を募集したが、受験者はそれぞれ11人と14人、採用者は5人と3人となっていた。そのため、両技術員の処遇を改善し、人財確保を図るのがねらいで、全国的にも珍しい取組みだという。
対象は土木と建築の技術員として採用され入庁した職員で、支給期間は採用から6年間。2025年4月時点で▷1年目の職員は月額3万円で毎年度5000円ずつ減額して6年間支給し、▷2年目職員は2万5000円で毎年度5000円ずつ減額して5年間、▷3年目職員は2万円で毎年度5000円ずつ減額して4年間、▷4年目職員は1万5000円で毎年度5000円ずつ減額して3年間、▷5年目職員は1万円で次年度5000円減額して2年間、▷6年目職員は5000円を1年間支給する。
(月刊「ガバナンス」2024年9月号・DATA BANK 2024より抜粋)
●大学生と協働で関係人口創出へ~「地域連携カイギ部」に市PRサポーターを委嘱
千葉県我孫子市(13万1000人)は、市内にある中央学院大学の「地域連携カイギ部」の学生に市PRサポーターを委嘱した。同大に通う学生や教職員を対象に、市の魅力を発信してもらうことで市のファンを増やし、将来的な関係人口や移住者の増加につなげることがねらい。「地域連携カイギ部」は学内にとどまらず、広く地域社会とつながり、ボランティア活動やイベントの企画・運営を行う学生のグループで、2023年にサークルとして発足、24年に部となった。24年6月時点で部員数は67人。
今後、部員は市PRサポーターとして、同大の学生会館に設置されている「市情報発信コーナー」を活用して、注目のイベントや人物を取材し動画で紹介するなど、学内を拠点に市の魅力発信に取り組む予定。
(月刊「ガバナンス」2024年9月号・DATA BANK 2024より抜粋)
●公式TikTokで地域の魅力を広く発信
東京都葛飾区(46万4200人)は、区の魅力を広める取組みの一環として、TikTok公式アカウント「なんかいいよね、葛飾【公式】」の運用・改善に力を入れている。地域資源や行政情報、歴史・文化、イベント情報、まちのにぎわいなど、多彩な魅力を凝縮したコンテンツを配信し、親しみを感じてもらえるアカウントを目指している。
TikTokの運用業務は、㈱ホリプロデジタルエンターテインメントに委託。同社の「エンタメ×マーケティング」という強みを活かした投稿を2024年5月から開始した。
区の伝統産業の一つ「棕櫚(しゅろ)たわし」づくりの様子をASMR動画(音の心地よさを味わえる動画)として紹介した投稿は240万再生を突破(6月27日現在)。今後も区の魅力を広く発信することにしている。
(月刊「ガバナンス」2024年9月号・DATA BANK 2024より抜粋)