連載 vol.116「つながる」力 「つながる」力を信じて【久保田健太郎(千葉市職員)】
地方自治
2024.11.06
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2023年11月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
振り返ってみると、自分の市役所人生は、いつも「つながり」に助けてもらった。病院事業の経営形態の変更、地域包括ケアシステムの構築、新型コロナワクチン接種と、「つながり」無しには乗り越えることが出来なかった。庁内の「つながり」も大切だが、特に市役所の外との「つながり」は自分の財産である。
30歳台は、「つながる」こと自体の楽しさを知った時期だった。幸運にも、大学院に進学する機会を得て、病院事業を研究する中で、民間も含めて全国の病院を訪れた。また、医療政策に関する社会人勉強会や地域医療のNPO活動にも参加した。
公務員界隈だけでなく、民間の活動に積極的に参加したのは、多様な立場の方々と知り合い、意見を交換することで、日常にはない刺激を得ることが出来たからである。そこでの「つながり」は、必ずしも目の前の業務に活かすことが出来たわけではなかったが、それでも何度も「つながり」に助けられた。
40歳台になって、プライベートでも仕事でも忙しくなり、新たな「つながり」は減っていったが、時を重ねることで個々の「つながり」は深まっていった。
地域医療のコミュニティーでは、全国各地で出前のワークショップを行っており、自分もファシリテーターとして参加している。まったく知らない地域でのワークショップでは、多くの学びを得るだけでなく、新たな「つながり」が生まれ、回を重ねることで、ファシリテーター同士の絆を深めることができた。
管理職になってみると、より責任のある立場となり、市政の課題解決に「つながる」力を活かしやすくなったと感じている。特に、新型コロナワクチン接種は、情報が少なく待ったなしの状況で、全国のワクチン担当者の「つながる」力が無ければ、大きな困難を乗り越えることはできなかった。
すぐに成果が見えなくても、長い市役所人生の中では、「つながる」力を活かすチャンスが必ずやってくると信じて、若いうちから積極的に外に出てほしい。
(千葉市職員/久保田健太郎)