連載 vol.77「つながる」力 移住ありきじゃない。ゆるくおもしろく、つながる栗原 【鈴木 敬(宮城・栗原市職員)】
地方自治
2023.07.28
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2020年8月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
「ゆるくおもしろく、つながる栗原。」をコンセプトに、栗原市への移住ありきではない人と人のご縁をつなぐサポートを試行錯誤しながら展開している。
ゆるく。決して「いい加減」という意味ではなく、官民の壁や組織内での縦割りなどの縛りなく、あくまで移住検討者ファーストの柔軟性あるサポートをしていこうという意味である。
おもしろく。人は「おもしろい!」と思わなければ集まってくれないし、関心も寄せてくれない。だからこそ、行政の枠からある意味、振り切ったプロジェクトを常に考えている。
そして、つながる。前述のゆるさとおもしろさを追求する中で、様々なプロジェクトを展開するのは正直、全然ゆるくない。通常の型にはまった中で展開する方がストレスは少ない。しかし、型にはまった中では、これまでの成果は得られなかったと感じている。
栗原市は、2013年から移住施策を重点事業に位置づけ、子育て支援策のほか住まいに関する支援制度を構築。20年3月末までに、491人の市内移住に結びついている。特に直近3年間の移住者数は年間100人で推移している。
これは、単に支援制度の充実度だけでなく、市民・地域・行政の三つのチカラが補完し合うワンチームの基盤づくりを進めてきた成果だと実感している。移住サポーターたる「くりはら移住定住コンシェルジュ」36人の皆さんのサポートや、起業や就農、住まいのサポートを地域ぐるみで行ってくれたり、行政だけでは決してできないきめ細かなサポート体制があったからこそ実現できた奇跡のような移住ストーリーがいくつも生まれている。そして、そうやって移住してきた皆さんが次の移住検討者のサポートを積極的に行ってくれている。そのような人が人を呼ぶ「つながりのサイクル」ができ始めていると感じる。
「ゆるくおもしろく、つながる栗原。」──市民、地域の皆さんとのつながりの中から、移住検討者の方が思い描く移住後の暮らしに向けて、これからもサポートしていきたいと考えている。
(宮城・栗原市職員/鈴木 敬)