連載 vol.75「つながる」力 つながりを強化し、難問解決へ 【阿部裕子(群馬・高崎市職員)】

地方自治

2023.07.14

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2020年6月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     刻々と状況が変化する新型コロナウイルス感染症。医療機関の崩壊を避けるためにも緊急事態宣言下における外出自粛は継続したい。しかし、それによる経済の急激な落ち込みがもたらすダメージはあまりにも大きい。今、日本や世界はこの真逆の二者択一を迫られて悩んでいる。このコラムが掲載される頃、社会はどのようになっているだろうか(執筆は5月1日である)。私は「つながり」に大きな可能性を感じている。

     高崎市は2011年4月に中核市となり、保健所が設置された。私の公務員人生は、その前年に保健所準備室職員としてスタートした。保健所職員は市の職員であるものの、他分野の市職員との交流がほとんどなく、規制行政側からの視点のみで業務にあたりがちである。私もその一人であったが、大きな転機となったのは、同じ高崎市職員である松田和也さんとのつながりだ。

     そのきっかけとなったのは、全国自治体女性職員交流研究会における、長崎県諫早市の村川美詠さんと大阪府吹田市の菅有紀さんとの出会いである。他県の方々に当市の職員を紹介いただくという不思議な経緯であった。

     松田さんに誘われて数々の自治体職員の集まりに顔を出すうちに、今まで知る機会のなかった他職種の業務内容やそれにかける想いの強さを知った。それにより私も規制側の立場からだけではない多様な見方ができるようになったと感じている。以前であれば「不可」と回答して終わりであったが、不可の理由への理解を促しつつ、どうしたら可になるのかを振興側と一緒に考えるようになった。

     これと同じことが医療側と経済側の専門家においても言えるのではないか。異なる分野の専門家同士のつながりを強化し、お互いの問題点を解決する方法を一緒に考えることができれば、今まで二者択一でしかなかった難問にも、第三の打開策があるかもしれない。そして、菌やウイルスには人が作った行政区は全く関係ない。自治体の枠を超え、全国で、そして世界でつながり、その対策に取り組むことが求められている。

     

    (群馬・高崎市職員/阿部裕子)

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