行政大事典
特別交付税とは|最新行政大事典【用語集】
NEW地方自治
2025.05.08

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はじめに
『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第7章 財政・予算」から、「特別交付税」を抜粋して、ご紹介したいと思います。
特別交付税
地方交付税の種類の1つであり、その総額は、地方交付税の総額の6%に相当する額である(交付税6の2〔3〕)。
特別交付税は、普通交付税の補完措置として設けられているものであり、〔1〕普通交付税の基準財政需要額の算定方式によっては捕そくされなかった特別の財政需要があること(例えば、地方公共団体の長又は議会の議員の特別選挙があること、被生活保護者数が著しく増加したこと、地理的条件により公務連絡に要する経費が多額であること等)、〔2〕普通交付税の基準財政収入額のうちに、現実の収入に比べて著しく過大に算定された財政収入があること、
〔3〕交付税の額の算定期日(4月1日)後に生じた災害(その復旧に要する費用が国の負担によるものを除く。)等のため特別の財政需要があり、又は財政収入の減少があること、〔4〕その他特別の事情があること等の事由により、基準財政需要額又は基準財政収入額の算定方法の画一性のため生ずる基準財政需要額の算定過大又は基準財政収入額の算定過少を考慮しても、なお、普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して、総務省令で定める算定方法により、当該事情を考慮して算定され、交付される(交付税15〔1〕)。
各地方団体ごとの特別交付税の額の決定は、総務大臣が行う。特別交付税の額の決定及び交付は、毎年度、2回に分けて行われ、第1回目は12月中に、第2回目は3月中に行われる。この場合において、第1回目に行われる特別交付税の額の決定は、その総額が特別交付税の総額の3分の1以内の額となるように行うものとされている(交付税15〔2〕、16〔1〕)。
毎年度分の特別交付税の総額は、普通交付税の額の決定等に伴って以下のように変更される場合がある。
〔1〕毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が、各地方団体ごとに算定した財源不足額(基準財政需要額から基準財政収入額を控除した額をいう。)の合算額を超える場合においては、当該超過額は当該年度の特別交付税の総額に加算される(交付税6の3〔1〕)。
〔2〕毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が、各地方団体に対して交付すべき普通交付税の合算額に満たない場合においては、当該不足額は、当該年度の特別交付税の総額を減額してこれに充てるものとされている(交付税10〔6〕)。
〔3〕既に交付した交付税の額の全部又は一部を返還させ、又は加算金を納付させた場合においては、その返還され、又は納付された額は、通常返還又は納付年度の翌々年度の特別交付税の総額に加算される(交付税20の3)。
・令和5(2023)年度の特別交付税額は1兆322億円(前年比+1.7%)
1.道府県分1,694億円(前年比6.8%)、市町村分9,628億円(前年比0.9%)
2.交付総額における主な算定項目(単位億円、カッコ内は4年度)
(1)災害関連経費 920(571)
(2)除排雪経費 439(654)
(3)原油価格高騰対策 62(104)
(4)地域医療の確保(公立病院等)1007(1079)
(5)地域交通の確保(地域バス・離島航路・地域鉄道支援等)779(737)
(6)公営企業の経営基盤強化 339(323)
(7)地域おこし協力隊 280(243)
(8)文化財保存 213(202)
(9)消防・救急 204(203)
(10)防災・減災対策 175(161)
(11)農林水産被害対策(有害鳥獣対策等)168(160)
(12)豚熱対策 22(16)
(13)鳥インフルエンザ対策 88(60)
(参考)
1.災害関連経費 920億円のうち402億円は令和6年能登半島地震、7月7日からの大雨、台風第7・13号に係る分である。
2.除雪経費に係る額は今冬の大雪に係る除雪経費についての措置である。
令和5年度の特別交付税の交付額は、令和6年3月22日交付決定され、閣議報告、3月26日に現金交付された。(総務省報道資料による)
*『最新行政大事典』2024年9月より。高木 祥勝/著
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