連載 vol.45「つながる」力 「つながり」が気付かせてくれた郷土愛  【小林由加(茨城・潮来市職員)】

地方自治

2022.09.12

本記事は、月刊『ガバナンス』2017年12月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

水郷潮来あやめまつり

 私が今、こんなにも胸を張って地元「潮来」が好きと言え、同時に人口減少や商業の衰退などの問題を自分事として捉えられるようになったのは、外の世界を知ってからである。

 潮来には、66回を迎えた「水郷潮来あやめまつり」という80万人もの観光客を迎える一大イベントがあり、観光地としてその名を全国へ広めてきた。しかし、若者からの認知度は低く、客層は高齢者がメーンとなっている。自分もその一人だった。

 そんな中、仕事で出会ったゆるキャラ「ミヤリー」の担当の方々と意気投合し、宇都宮を案内してもらうこととなった。仕事でもプライベートでも仲良しの4人で訪れ、その方々に「あやめガールズ」と名付けられたのをきっかけに、私たち同世代の若者にも潮来を知ってもらい、盛り上げていきたいと思うようになった。

 私たちは、県内外を問わず、研修等で知り合った方々とSNSでつながり、潮来へ招き、案内することにした。あやめガールズの中には、観光部門から異動した後も、自らあやめまつりに携わっていきたいという想いから、手漕ぎの「ろ舟」を操る娘船頭となった者もいる。その手漕ぎ舟体験や、伝統の潮来花嫁さんによる「嫁入り舟」を見学していただくことで、同世代の生の声を聴くことができたのだ。

 そのうちに、他の自治体の方からもお声がけをいただくようになり、県内でも遠く離れた五霞町でファシリテーション研修に参加したり、福岡県うきは市や浜松市をはじめ全国の仲間の元へうかがうなど、たくさんの出会い、つながりの輪が広がった。

 本当に意外だったのが、潮来を訪れた人が口をそろえて「潮来は良いところだ」と言ってくれること。ずっと地元にいて、そんな風に褒められたのは初めてだった。地元を知ってもらおうと思ったこと、研修で出会った人たちとつながったこと、それらが今、地域のまちづくりに熱い思いで向き合う、全国の方々との出会いにつながった。このつながりが、地元を客観視するきっかけとなり、今の私たちの活動の原動力となっている。

(茨城・潮来市職員/小林由加)

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

ご購読なら年間購読がお薦め!複数年でさらにお得です。

オススメ

月刊 ガバナンス(年間購読)

発売

ご購入はこちら

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中