こちら「舟形町」情報化本部 各課の推進委員、担当職員と連携し、全庁を挙げてデジタル化にチャレンジ
地方自治
2022.01.12
この資料は、地方公共団体情報システム機構発行「月刊 J-LIS」2022年1月号に掲載された記事を使用しております。
なお、使用に当たっては、地方公共団体情報システム機構の承諾のもと使用しております。
こちら「舟形町」情報化本部
各課の推進委員、担当職員と連携し、全庁を挙げてデジタル化にチャレンジ
山形県の東北部、最上郡の南端に位置し、山地に囲まれた人口5,000人の舟形町。情報担当1名だった従来の体制から、今後のデジタル利活用の取り組みと併せて見直し、2020年にデジタルファースト推進室を設置した。
舟形町の紹介
舟形町は、山形県の東北部、最上郡の南端に位置し、東西に細長い地形をしており総面積は119.04㎢で大部分が山地に囲まれた人口5,000人の町です。
基幹産業は水稲を中心とした農業で、人工衛星の画像データを用いて生育状況を可視化して栽培する「舟形町稲生育管理システム」を活用し客観的な肥培管理を行い、米の高品質化を図っています。園芸作物では、ねぎ、にら、きゅうり、アスパラガス、トマトが多く生産され、マッシュルームにおいては、全国シェア3位まで伸びています。
また、町を流れる清流小国川では、鮎釣りの時期になると多くの釣り客でにぎわい、そこで獲れる鮎は、香り良くたいへんおいしいと評判です。近くには、ワーケーションもできる若あゆ温泉があり、そこからの眺望は、遠く月山などの山々も望むことができ、素晴らしい景観と絶賛されています。
そして、縄文時代の西ノ前遺跡は、古から人々の暮らしが、この地で営まれてきたことを証明し、ここから出土した土偶は、造形美や大きさから国宝に指定され「縄文の女神」と命名しました。その神秘性やフォルムは、国内のみならず海外の方からも評価されています。
デジタルファースト推進室設置の経緯
デジタルファースト推進室は2020年4月に設置され、デジタルの利活用や庁内システムの管理運用など情報系全般を担当しています(図)。設置の理由は、これから町が持続可能な地域社会を築いていくためには、いち早くデジタルの活用に取り組んでいくことが大事であると首長が理解したことです。そして、舟形町第7次総合発展計画において、2020年から5年間の重点プロジェクトの一つに、人口減少にも対応した先進的な少数社会を目指す「デジタルファーストプロジェクト」を掲げました。設置前は、総務課管財係に情報担当として1名のみの配置で、国県からの通知や、庁内PC環境への対応で精一杯の状況にあり、新たなことに手を出せる状況ではありませんでしたので、室長以下3名の体制強化により大きく幅が広がりました。
「舟形町デジタル化推進計画」の策定
デジタル化を全庁的に展開していくためには、各課横断的な道標となる計画が必要であると考え、「舟形町デジタル化推進計画」の策定にとりかかりました。若手職員で構成する情報化推進委員を各課に配置し、その委員会(委員長は副町長、副委員長はデジタルファースト推進室長)でワーキングを重ね作り上げていきました。
また、現状と課題を知るための手段として、担当職員、係長級、課長級とエスカレーションさせてヒアリングを行いました。計画期間は、重点プロジェクトの終期と合わせ、2024年度までとし、取り組みのスケジュールや重要業績評価指標(KPI)の達成状況等に基づき、毎年度、進捗状況の把握と施策内容の評価を行いローリングしていきます。
これからのデジタル化に向けた展望
当町のマイナンバーカード普及率は、33.9%(2021年11月1日現在)で、3人に1人が取得しています。着実に増えている状況ですので、町民が取得することにより、利便性が向上する取り組みも検討していきます。今年度中に町への許可申請などの押印見直しも行い、オンライン申請の範囲も拡げていきます。
また、今年度から5G活用の検討も行っており、実証実験として連携自治体である東京都港区とお互いに5G通信を利用し、遠隔での施設見学や中学生同士の交流を行いました。「5Gって聞いていたけど、触れるのは初めて」「本当にその場にいるような感じ」などの感想がありました。結果を検証し、行政サービスへの利活用につなげるため、情報化推進委員会を中心に検討していきます。
今後も、庁内ネットワークのセキュリティ対策に加えて、利用者である全職員の情報セキュリティに対する意識・能力の向上、デジタル化の効果を最大限に活かすための職員のICTリテラシーの向上のための研修を継続的に行い、攻めと守りの両方を見据えながら、町民サービスの利便性向上のためデジタルを活用していきたいと考えています。