【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記
東西南北デジデジ日記 vol.9 今週の担当:【東】千葉大右
地方自治
2021.12.09
東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。行政のデジタル化加速とはいうものの、「そもそもどこから始めたらいいの?」。テーマはデジタルなんぞを掲げていますが、まあまあ肩ひじ張らず、コーヒーでも飲みながらどうぞ、な雰囲気でお届けしています。【東】の千葉さんから新たな方向からデジタルへの問いかけが…。
―――――2021年12月9日 Thu.―――――――
変わらない。変われない。
前回今村さんが使った言葉です。役所の一面をズバリと表現していてグサッときますね。
若い頃、役所には「あっち側」と「こっち側」があると思っていました。「こっち側」にいるうちは、「自分があっち側にいったら、自分のやり方をスタンダードにしてやる。あっち側の奴らめ、今に見ておれ」との思いを内に秘め、日々の仕事にまい進していたものです。
さて、アラフィフとなってどっぷりと「あっち側」に浸かった今、かつての秘めた思いはスタンダードになったのでしょうか。今でも日々感じるモヤモヤが、その答えだと思います。
BPRって知ってる?
突然ですが、皆さんは「BPR」って聞いたことがありますか? 聞いたことはない、または聞いたことはあるけどよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。もしくは情報部門や行革部門の方であれば、国などの資料でよく目にしているかもしれません。
BPRとはBusiness Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の略で、「業務改革」や「業務の見直し」と表現されることもあります。以前から使われているこれらの日本語と少し違うのは、「根本的」「抜本的」といったニュアンスが強いことと、「第三者視点」が非常に重要であるということです。
BPRの歴史
BPRが初めて世に出たのは、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーが1990年に発表した論文(Reengineering Work: Don't Automate, Obliterate)であるといわれています。その後ベストセラーとなった同氏の著作でBPRが紹介され、世界中に知られるようになりました。
そのBPRが日本、とりわけ行政分野に登場したのはいつ頃なのか、総務省のウェブサイトを対象に検索(”BPR” site:soumu.go.jp)してみました。検索結果を時系列に並べると次のとおりです。
・民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の国の行政組織への導入に関する調査研究(2010年)
・電子自治体の新たな取組に対応した人材育成支援事業、EAを踏まえたBPR(2012年)
・地方自治体における業務の標準化・効率化に関する研究会、窓口業務のパターン化等による業務フローの見直し(BPR)、標準化(2014年)
・行政イノベーション研究会、27年度から全府省で「行政BPR」を一斉スタート、継続的に推進(2015年)
・国の行政の業務改革に関する取組方針、業務効率化と利便性向上の双⽅を実現する「BPR」の⼿法が有効(2016年)
2010年にBPRの導入に関する研究が行われて以降、各種研究会においてもBPRが議論され、2016年には「国の行政の業務改革に関する取組方針」の改定に伴い、「特にBPRの取組に重点化して、業務改革の取組の推進を図っていく」こととされました。このように、行政分野でのBPRの歴史は比較的浅く、国においてもその取組みはまだまだ途上であるといえます。
一方、地方においては、「経済財政運営と改革の基本方針2015」いわゆる骨太の方針において、「BPRの手法を活用した業務改革モデルプロジェクトの実施による官民協力した優良事例の創出と全国展開(中略)を加速する」ことが明記されました。これにより、2016年度より汎用性のある改革モデルを構築し横展開を図ることを目的とした「業務改革モデルプロジェクト事業」が実施されました。船橋市では、平成29年度にこの業務改革モデルプロジェクト事業を受託し実施しています。
BPRに取り組んでみたけれど
業務改革モデルプロジェクトの結果はどうだったのか。今回はタイトルだけにして、続きは次回お話ししたいと思います。「おいおい、またデジタルの話ちゃうんかい」と思ったあなた、大丈夫です。BPRは大いにデジタルと関係あるんです。
他の執筆陣の皆さま、伏線の回収もせず、突然カタいニュアンスになってしまいスミマセン。BPRにまつわるエピソードがあれば、ぜひ触れてみてください。
それではまた来週。デジデジ!
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