連載 コミットメント ──他責から自責文化の自治体職員 第1回 「主体的な行動」こそが大きな力【阿部勝弘(福島・相馬市職員)】

NEW地方自治

2021.09.07

 

本記事は、月刊『ガバナンス』2016年6月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会の修了生(マネ友)のメンバーがリレー形式で執筆します。

「主体的な行動」こそが大きな力

 東日本大震災から5年が経過した。熊本地震が発災し、当時の記憶が鮮明に蘇ってきた。避難所運営や仮設住宅のマネジメント、災害公営住宅建設や新しいコミュニティの形成、そして放射能汚染対策など、行政に求められるニーズや対応は時々刻々と変化している。市町村はもちろん、国や県も想定外の大震災・複合災害のため復旧復興の処方箋は持ち得ていない。地域ごとに異なる状況や課題を把握し、具体的な解決策を立て実行していく。これを自分たちの手で繰り返すしかなかった。

 特に被災直後の混乱の中では、職員が各現場で臨機応変に判断・対応しなければならない場面ばかり。避難所や被災現場での対応は最たるもので勇気や覚悟が必要な時もあった。そのような状況の中、ある職員の行動が、その後の復旧復興に非常に大きな力を発揮した。情報政策課のTさんは、被害状況の把握にGIS(地理情報システム)が大きな可能性をもつことを察知。しかし、活用するには不足するデータの入力や解析に人手が必要だったため、新潟市GISセンターをはじめとする産学官の知り合いに支援を要請した(後日公的手続き)。この連携支援で作成された被害状況マップによって、津波被災建物が判断可能となり、義援金支給や罹災証明交付が迅速化された。また、全住民の位置情報をデータ化することで、高速道路無償通行証が待ち時間なしで交付できた。その後の復旧復興における政策判断の迅速化に大きな役割を果たしたのである。

 市役所は組織として動いている。その中にあって職員が「今自分が果たすべき役割や自分に何ができるのかを考え、指示待ちでなく主体的に行動した」からこそ大きな力となった。当市の復興は概ね計画どおり進捗してきている。市長・職員・市民の「自分たちの手で必ず復興するんだ」というみんなの強い想いと未来への夢が一つとなり、それぞれの役割と責任を果たしながら復興を進めている。

                                                                                                                                                (福島・相馬市職員/阿部勝弘)

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