こちら「与那国町」情報化本部 竹富町との連携による情報システム共同化など、離島の情報化施策の充実、コストダウンへ

NEW地方自治

2021.08.25

この資料は、地方公共団体情報システム機構発行「月刊 J-LIS」2021年6月号に掲載された記事を使用しております。
なお、使用に当たっては、地方公共団体情報システム機構の承諾のもと使用しております。

 

全国の情報担当部署、担当職員を紹介!

こちら「与那国町」情報化本部
 沖縄県八重山郡与那国町は観光地として知られる日本最西端の離島。環境整備やコスト、人員不足など、離島の自治体が直面する情報化施策のさまざまな課題に、「ひとり情シス」で取り組む。

竹富町との連携による情報システム共同化など、離島の情報化施策の充実、コストダウンへ

(月刊「J-LIS」2021年6月号)

与那国町と情報担当者の紹介

 与那国町は、東京から2,100km以上離れた場所にある、日本最西端の自治体です。姉妹都市関係にある台湾の花蓮市との距離は台湾海峡を隔て僅か111㎞程で石垣島(石垣市)よりも近い位置にあり、古くから台湾との交流が盛んです。与那国島はカジキ釣りや国内有数のダイビングのスポットとして知られており、島の南側の海底にある巨石群が有名です。

 また、TVドラマ「Dr.コトー診療所」のロケ地としても有名で、撮影で実際に使用されたセット(診療所)を見学することができます。

 2018年3月には、上皇上皇后両陛下が初めて本島にご訪問されました。

 近年、日本国内の西の防衛線として地政学的に重要度が高まっており、2016年に陸上自衛隊与那国駐屯地が開設されました。

 自衛隊関係者の異動等に伴い島外からの住民が多数流入、流出するようになり、島の人口は微増傾向にありますが、依然として高齢化が進行しています。

 2012年度に離島地区情報通信基盤整備推進事業により、沖縄本島から与那国島までの各離島間に2回線となる光ファイバー海底ケーブルが増設され、地震、台風等の災害や機器の障害に強い強固な情報通信基盤が構築され、高品質で安価な高度通信サービスが実現可能になりました。

 私は以前、北海道斜里郡でPCサポートWebシステム作成などを手掛けていましたが、3年前に与那国町に転居し、町職員に採用され企画財政課に配属されました。

 与那国町は職員数が少なくICT専門部署は存在しません。離島故内地の基礎自治体に比べて人員確保すら厳しい情報化担当者の職掌範囲は広く、ICT基盤全体の施策立案から保守管理まで任されている実質的な「ひとり情シス」状態です。

 限られた財源の中で、多様化・高度化する住民サービスの情報化施策を立案。システムの保守運用管理も担当し、職員の負担軽減のためにICT環境整備対応に日々奔走しております。

与那国町の情報化施策

 与那国町では、情報システムの導入及び運用に係る費用については、離島に位置するため、出張対応等で必然的にコストが嵩み、業者の現地サポートが十分得られない状況です。

 マイナンバーをはじめとした近年の新制度創設や度重なる大規模法制度改正によるシステム改修費用、セキュリティ対策に関する費用は高止まりの傾向となっており財政的に大きな負担となっていました。

 現状の課題を解決する手法として、2019年度より、同様の課題を抱えている日本最南端の自治体である竹富町と提携し、八重山地区の島嶼部の自治体における情報システムの共同利用化を推進するため、2018年に「竹富町・与那国町情報システム共同化推進協議会」を設立し、情報システム調達、構築、運用の共同化に向け、自治体クラウド化に向けた検討と取り組みを実施してきました。

 21の業務を対象に、基幹系(住民情報系)システムのクラウド化を進め、従来と比較して、20%以上のコストダウンを実現しました。また、システムだけでなく業務用PCの共同調達も実施し、大幅なコストダウンを実現しました。

 与那国町独自の施策として、沖縄本島、石垣島に頻繁に出張していた職員の働き方改革のため、出先でも庁内で業務継続可能な環境を実現すべく、セキュリティ環境に最大限配慮したリモートアクセス環境を整備しました。昨今ではコロナ禍の影響を受けて、出張が制限された環境下でも庁内で各部署と連携対応可能な高度なテレビ会議環境整備を進めています。

今後の対応について

 住民情報系システムのクラウド化による刷新を実現しましたが、導入したシステムを十分使いこなすまでの操作に習熟する手間よりも、従来の手順により紙ベースで業務を進めた方が効率が良いと考える職員も存在することから、ICTの活用に向けた意識付けが今後の課題となっています。

 今年度は財務会計や人事給与システム等内部情報系システムの更改が予定されているので、働き方改革を一層進め、竹富町とも連携しつつ、デジタル・トランスフォーメーション(DX)のアプローチも参考にしたクラウドシステム環境整備を共同で進めたいと考えていります。

 クラウド化や共同調達でそれなりの成果をあげていますが、それでも厳しい財政事情からすれば、他の地域の自治体より割高であることは否めない状況です。

 今後も、辺境の緊張が高まる中でのセキュリティ強靭化刷新等の課題が目白押しであり、小規模自治体の判断だけで対応するには限界があります。

 現在の基幹系クラウドシステムの契約期間が満了する2025年には、デジタル庁が進めるシステムの共通化、ガバメントクラウドの採用によるさらなるコストダウンが実現されるよう、最も遠方に位置する小規模自治体の立場について理解が得られるよう、同様の課題を抱えている小規模自治体とも連携し、積極的に情報基盤の在り方について提言していきたいと考えています。

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