3ステップで学ぶ 自治体SDGs

笹谷秀光

【新刊】SDGsのキホンを知るためのQ&A〔4選〕(『3ステップで学ぶ 自治体SDGs』第1巻より)

NEW地方自治

2020.11.03

SDGsのキホンを知るための【Q&A】

(『3ステップで学ぶ 自治体SDGs』第1巻より)

法令出版社(株)ぎょうせいはこのたび、『3ステップで学ぶ 自治体SDGs』全3巻を発刊します。全自治体がSDGsにどのように取り組み、どのように進めていけばよいのかについて基礎から実践までわかりやすく解説した書籍で、地域ならではの取り組みを検討していく自治体職員、自治体と連携して地方創生SDGsビジネスへの事業展開を検討していく民間企業・金融機関の方々に手軽にお読みいただける実践書です 。

ここでは『ステップで学ぶ 自治体SDGs 第1巻 STEP1 基本がわかるQ&A』の「第1章 SDGsの基本を知ろう!」から4つのQ&A(本書33-39ページ)を掲載し、日本におけるSDGsの最新状況をご紹介したいと思います。いずれもSDGsのこれからを理解する上で欠かせない内容となっています。(編集部)

(書籍の詳細はコチラ

【Q&A】1.SDGsのローカライズとは?

自治体の政策とSDGs
 SDGsを自治体における政策に当てはめてみましょう。日本の政策や日本での自治体での政策は、大変緻密で幅広いものです。
 SDGsの17の目標は世界193か国の合意でできた共通事項ですが、日本のような先進国では、これらの17の目標に当てはめればほぼ全てが当てはまります。
 そこで自治体の関係者がSDGsを自身の自治体に当てはめ始めると、どれもこれも当てはまるように見える一方で、ターゲットまで行きますと、表現が日本の行政とは違ったり、捉え方が違ったりする部分もあり、世界とのギャップを感じることも多いはずです。むしろ、日本のような「課題先進国」では、少子高齢化や高齢化社会における健康政策など世界の共通言語だけでは不十分な課題が多く見られます。
 そこで、SDGsの17の目標や169のターゲットは世界共通の課題として洗い出されたものですので、それぞれの国で実情に応じたカスタマイズが必要です。

自分の自治体に合った目標をたてる
 SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業に選定された事例を見ると、網羅的にSDGsを当てはめている自治体とSDGsの目標の中でも重点を決めている自治体に分かれています。
 また、自治体の中には、政令指定都市のような大きな自治体と中山間地域の自治体など、規模や特有の課題によっても大きく異なります。
 要は、自分の自治体に合うSDGsの当てはめ方や活用方法をよく議論することです。
 特に、SDGs的な取り組みをすでに相当程度展開している自治体も多いので、その場合は、いわば「後付け」でSDGsを当てはめるような対応になります。私はそれも必要であると思います。なぜかといえば、まずSDGsに当てはめてみれば、世界課題とのリンクが認識できます。その上で、SDGsは、総合的かつ目標相互間の関連性(リンケージ)に配慮していますので、その他の課題との関連付けなどについてヒントが満載です。いずれにしてもSDGsは当てはめないことには何も始まりません。

【Q&A】2.国内の推進状況は?

政府のSDGs推進本部が本格稼動
 スロースターターであった日本ですが、着手すると早いのも日本の特色です。
 まず政府のSDGs推進本部が本格的に動いています。
 「SDGsアクションプラン2020」(2019年12月20日公表)には「~2030年の目標
達成に向けた「行動の10年」の始まり~」との副題がついています。SDGs実施のための短中期工程表(国際社会への発信を含む)も提示され、2021年東京五輪、2025年大阪・関西万博といった「締め切り効果」もあり、SDGsの浸透が一気に加速化するでしょう。
 筆者は、行政や企業での経験から2015年は実に「節目」の年であったと実感します。
 ESG全ての面で2015年に重要な動きがありました。Eではパリ協定、EとSとGでSDGs、Gではコーポレートガバナンス・コード(企業統治(コーポレートガバナンス)を実行するための指針を指す。2015年6月に上場企業に適用された)の適用です。この年は「ESG元年」であると私は言ってきました。「持続可能性新時代」の幕開けであり、ここで潮目が大きく変わったのです。
 いよいよ2020年はSDGs経営による「行動の10年」の初年度にすべきです。

産業界や関係者の動き
 経団連はSDGsを踏まえた憲章改定を行い、Society5.0を目指したSDGsを推進します。ESG投資の動きが注目される金融界でも日本銀行協会や日本証券業協会がSDGs宣言をしています。
 最近、日本の産業界の動きが加速してきました。産業界では関係者への波及力の大きいプラットフォームを形成する企業(自動車企業、大手流通、大手建設業など)がSDGs経営を進化させています。
 例えば、トヨタ自動車が、最近、SDGsの徹底活用を明確に打ち出し推進組織も整備しました。この結果、関係部品企業も含めて幅広い関係者へのSDGsの波及が見込まれます。
 また、延期された2021年の東京五輪ではSDGsを基準として調達、運営ルールが定め
られました。新型コロナであまり浮き彫りになっていませんが、SDGs経営企業である大成建設が設計・建設を主導した新国立競技場は、資材面・環境面・運営面全てで、いわば「SDGs仕様」であり、世界へのお披露目が待たれています。
 このSDGs仕様の調達、運営ルールは、SDGsを掲げて日本への招致に成功した2025
年の大阪・関西万国博覧会にも受け継がれていくと思われます。むしろ、万博自体がSDGsを活用して新型コロナウイルスのポストコロナの「ニュー・ノーマル」を体現する新たな価値観を示す企画になる可能性が高いでしょう。
 このような中で、日本のSDGsの効果を世界に示していく絶好のチャンスに対処できるのです。
 新型コロナウイルスのワクチン開発などで注目されている東京大学では経営体を目指し「統合報告書2019」を発表しています。その中で触れていますが、東京大学にはSDGsに貢献する様々な研究教育プロジェクトを推進する司令塔として、五神真総長直下に未来社会協創推進本部(FSI)を設置し、具体的な活動を開始しています。
 メディアでもSDGsがひっきりなしに取り上げられています。

【Q&A】3.2021年東京五輪、2025年大阪・関西万博との関係は?

 2021年に延期になった2020東京五輪は、「SDGs五輪」といわれ、調達ルールが決定され、これが五輪のレガシー(遺産)として将来に受け継がれます。2025年の大阪・関西万博にも直結します。公共調達をはじめとして「いつの間にルールが変わったのか?」とならないように先読みすべきです。
 SDGsは今や重要な国際機関決定での基本となっています。2018年11月のBIE(博覧会国際事務局)総会において、2025年国際博覧会の開催国が日本に決定しました。日本は万博の招致に当たりSDGsの実現を目標に挙げました。日本の創造性とイノベーション力で2021「五輪レガシー」づくりに続き、2025大阪・関西万博では「太陽の塔」の時代とは全く違う「SDGsレガシー」をつくりSDGsの目標年次2030年に突き抜けていくのです。
 政府は2025年万博の経済効果を全国で約2兆円と試算していますが、一過的なイベントではなく持続可能なインパクトを目指し、万博でのレガシー創出を目指すべきです。万博で形成される公園やランドマークだけでも持続的に関係者の印象に残り観光や経済成長に役立つのです。

【Q&A】4.世界の進捗状況は?日本の順位は?

 現状、SDGsの日本における進捗具合はどうなのか?この質問も多いです。世界的調査機関の最新の調査結果で国別のランキングを見ますと、1位がスウェーデン、2位がデンマーク、3位フィンランド、4位フランス、5位ドイツ、6位ノルウェーといったところになります。日本は17位、アメリカ31位、中国48位になっています(SDSNとベルテルスマン財団によるSustainable Development Report 2020)。
 これを日本人の皆さんにご紹介しますと、やっぱり日本は駄目だなといったため息が出るんです。自信喪失状態です。ドイツ、フランス、イギリスには抜かれているが、人口1億人以上では日本が1位だ、というとほっとします。
 実は、日本はSDGs目標のうち女性活躍、気候変動などで課題を残しますが他は非常に頑張っているのです。少子高齢化や地域の過疎化という課題先進国ですが、課題解決力も備えています。
 また、日本には和の精神があるので、「目標17:パートナーシップ」も根付いており、SDGsを加速させるポテンシャルは高いといえます。

●執筆者Profile
笹谷 秀光(ささや・ひでみつ)
1976年東京大学法学部卒業。 77年農林省(現農林水産省)入省。 中山間地域活性化推進室長等を歴任、2005年環境省大臣官房審議官、06年農林水産省大臣官房審議官、07年関東森林管理局長を経て08年退官。同年(株)伊藤園入社。取締役、常務執行役員を経て19年4月退職。2020年4月より千葉商科大学基盤教育機構・教授。現在、社会情報大学院大学客員教授、(株)日経BPコンサルティング・シニアコンサルタント、PwC Japanグループ顧問、グレートワークス(株)顧問。日本経営倫理学会理事、グローバルビジネス学会理事、NPO法人サステナビリティ日本フォーラム理事、宮崎県小林市「こばやしPR大使」、未来まちづくりフォーラム2019・2020・2021実行委員長。著書に、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版)ほか。企業や自治体等でSDGsに関するコンサルタント、アドバイザー、講演・研修講師として幅広く活躍中。

■著者公式サイト─発信型三方良し─
 https://csrsdg.com/

■「SDGs」レポート(Facebookページ)
 https://www.facebook.com/sasaya.machiten/

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2020年10月 発売

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笹谷秀光

千葉商科大学基盤教育機構・教授

1976年東京大学法学部卒業。 77年農林省(現農林水産省)入省。 中山間地域活性化推進室長等を歴任、2005年環境省大臣官房審議官、06年農林水産省大臣官房審議官、07年関東森林管理局長を経て08年退官。同年(株)伊藤園入社。取締役、常務執行役員を経て19年4月退職。2020年4月より千葉商科大学基盤教育機構・教授。現在、社会情報大学院大学客員教授、(株)日経BPコンサルティング・シニアコンサルタント、PwC Japanグループ顧問、グレートワークス(株)顧問。日本経営倫理学会理事、グローバルビジネス学会理事、NPO法人サステナビリティ日本フォーラム理事、宮崎県小林市「こばやしPR大使」、未来まちづくりフォーラム2019・2020・2021実行委員長。著書に、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版)ほか。企業や自治体等でSDGsに関するコンサルタント、アドバイザー、講演・研修講師として幅広く活躍中。

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