霞が関情報|「地方財務」2019年9月号(ぎょうせい)
地方自治
2019.09.04
新たな総合的土地政策を検討(国土交通省)
国土交通省は、国土審議会(国交相の諮問機関)の土地政策分科会企画部会(部会長・中井検裕東京工業大学環境・社会理工学院長)で、人口減少社会に対応した「新たな総合的土地政策」の策定と、土地基本法の改正に向けた検討を始めた。年内をめどに中間取りまとめを出す予定だ。
「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」が6月に決定した基本方針で、土地所有に関する基本制度の見直しを検討するよう求めたことなどを受けた。
土地の所有者に管理を促す措置や、所有者以外(地域コミュニティー)の利用・管理に対する支援策、公共目的のための利用・管理・取得の円滑化などを議論する。
土地基本法は、地価の高騰を抑制し、適正で合理的な土地利用をするためにバブル期に制定された。バブル崩壊後に地価が低迷し、土地政策は地価高騰抑制から有効利用に転換。その後、人口減少に伴い、所有者がわからない土地などの問題が顕在化し、適切な利用・管理が求められている。
一般介護予防事業で議論整理(厚生労働省)
厚生労働省の「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」(座長・遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所長)は、これまでの議論を中間とりまとめとして整理した。高齢者の身近な場所に住民が集まって交流し、仲間づくりや介護予防につなげる「通いの場」として、スポーツや生涯学習、公園や農園を活用した取り組みを位置付けるよう促している。
中間とりまとめでは、現状について、通いの場の数や参加率は増加傾向にある一方、市町村が把握できているのは、自治体の介護保険担当部局の対象に限られているとする、これまでの議論を紹介した。
今後の方向性として、介護保険担当以外の部局のスポーツや生涯学習のほか、民間企業や社会福祉協議会など多様な主体の取り組み、有償ボランティアなども通いの場として明確化するよう提案。通いの場での医療専門職の関与など、医療関係団体との連携も課題として掲げた。
検討会は、一般介護予防事業に求められる役割や、計画・実行・評価・改善に取り組む「PDCAサイクル」に沿った推進方策を集中的に検討するため、有識者らをメンバーとして5月に設置された。
秋以降に、関係団体や自治体にヒアリングし、年末に全体の取りまとめをする。議論の内容を社会保険審議会介護保険部会の議論に役立てる。実現可能な内容は順次実施し、必要に応じて制度改正につなげる。
小中の99.2%が耐震化(文部科学省)
文部科学省は、2019年度の公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査結果をまとめた。それによると、19年4月1日現在で全国の公立小中学校施設の耐震化率は、前年度と同じ99.2%だった。耐震化が未実施の建物は894棟で、前年度より84棟減少した。
同省は、老朽化した建物ではガラスの破損や内外装材の落下など非構造部材についても、被害が拡大する可能性が高いとして対策を求めている。
調査対象は、福島県双葉町と大熊町を除く公立学校施設の全設置者(11万5,606棟)。15年度におおむね耐震化は完了したが、対策が未実施の施設が一部にあったため、フォローアップ調査をしている。
小中学校について、耐震性がない建物の残棟数が多い都道府県をみると、北海道183棟、沖縄県111棟、福島県70棟。一方、宮城、秋田、栃木、埼玉、神奈川、福井、山梨、岐阜、三重、滋賀、鳥取、香川、熊本、大分の14県で耐震化率は100%となっている。
屋内運動場・武道場・屋内プールなどでのつり天井の落下防止対策(小中学校)は、368棟で未実施となっており、前年度より223棟減った。対策未実施の施設が多いのは、千葉県46棟、愛知県40棟などだった。
農業データ連携基盤を構築(農林水産省)
農林水産省は、農業現場での生産性を高め、経営改善に役立てるため、関連するデータをフルに活用できる環境の整備を進めている。これまで生かされてこなかった民間企業が抱えるデータを共有・活用できるプラットフォームとして、農業データ連携基盤(WAGRI)を構築。ロボット技術や人工知能(AI)などを活用した「スマート農業」を進める。
WAGRIを駆使することによって、営農形態に応じた作業計画の作成や、農作業の効率性の向上、スマートフォンを使った生育状況の確認などを目指す。