行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―電子マネーとは

地方自治

2020.11.21

【最新行政大事典】用語集―電子マネー

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第9章 金融」から、「電子マネー」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

電子マネー

 電子マネーとは、デジタルデータに貨幣価値を持たせ、データを保蔵・移転させることで決済手段として用いるものであるが、法定通貨ではなくネットワークやICカードなどを使って電子的に通貨に相当する機能を事業者が提供する私製貨幣(代用貨幣)とも言うべき存在である。電子マネーには、利用者が事前に資金を事業者のシステムにチャージして商品サービスを購入する都度購入額をチャージした金銭データから購入額を支払うプリペイド型と、金銭データの管理を行なうソフトをパソコン、スマホなどに組んでネットワークを通じてクレジットカードカード会社にデータを送り、銀行の預金口座から後日引き落として決済するポストペイ型等に大別される。前者のプリペイド型電子マネーは、Suica、ICOCA、PASMO、nanaco、WAON等のICカードやauWALLET、iD、QUICK Pay、VISA Touch、Smart Plus等のクレジットカードと一体になったものがあるが、いずれも資金決済に関する法に基づく前払式支払手段に位置付けられている。近年登場したPayPay、楽天Pay、LinePayなどスマートフォンに搭載される決済アプリは、プリペイド型とクレジットカードを利用したポストペイ型の両方を混載した支払いツールである。

 電子マネーは世界的に利用が急拡大している。日本銀行はICカード型電子マネーについて主要8社の発行枚数、決済件数・金額(交通系については乗車・乗車券購入を除く)を調査しているが、2018(平成30)年の実績は発行枚数3億9,077万枚、決済件数58億5,300万件、決済金額5兆4,790億円を記録している。

 現在、政府はキャッシュレス化政策を推進しており、その柱の一つが電子マネーの普及である。電子マネーが普及すると、金融取引の制度設計が大きく変貌すると見られる。その理由は、〔1〕電子マネーがクレジット・カード等のような単なる支払手段であるにとどまらず、現金通貨、預金通貨、中央銀行預金に次ぐ新たな決済手段となる可能性があること、〔2〕電子マネーによる決済シェアが今後上昇すれば、従来銀行がほぼ専管業務として担ってきた「決済」秩序が大きく変化する可能性があること、〔3〕電子マネーによりネットワーク上での決済が可能となれば、国際的な資金の移動がきわめて容易となり、国際的な金融システムも大きな変化を迫られる可能性もあると見られる。

*『最新行政大事典』2019年10月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 長谷川清)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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