行政大事典

ぎょうせい

【最新行政大事典】用語集―クラウドファンディング(crowd funding)とは

地方自治

2020.11.15

【最新行政大事典】用語集―クラウドファンディング(crowd funding)

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第9章 金融」から、「クラウドファンディング(crowd funding)」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

クラウドファンディング

 クラウドファンディング(crowd funding)は、不特定多数の人から資金を集める行為である。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、製品開発やイベントの開催、チャリティなどの用途で利用されることが多い。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。一般に製品開発やイベントの開催には多額の資金が必要となるが、クラウドファンディングでは、インターネットを通じて不特定多数の人々に比較的少額の資金提供を呼びかけ、一定額が集まった時点でプロジェクトを実行することで、資金調達のリスクを低減することが可能になる。ソーシャルメディアの発展によって個人でのプロジェクトの立ち上げや告知が容易になり、それに呼応する形でクラウドファンディングによる資金調達が活発になりつつある。米国ではKickstarterが有名。アートなどの分野に特化したサービスも多く、国内でもサービスが増加している。

 クラウドファンディングは資金提供者に対するリターン(見返り)の有無および形態によって大きく3種類に分類される。すなわちプロジェクトに対して資金を提供しても報酬がない「寄付型」、プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」、特定の企業やプロジェクトに出資し、後日、リターンとして金銭(配当や利益の一部)または株式が発行される「投資型」である。最後の「投資型」は、さらに細分化され、資金を融資金として一定期間後に利息を付して資金を回収する「貸付型」、資金提供者が出資持分として株式を取得する「株式型」、資金提供者が匿名組合契約等に基づき集団投資スキーム持分を取得する「ファンド型」の3種類に区別される。

 クラウドファンディングの最初は、2000年にスタートした英国の寄付型クラウドファンディングのJustGivingであるが、クラウドファンディングのスキームは直ちに拡大し、2000年代半ばには購入型あるいは投資型のクラウドファンディングが誕生し、2010年前後には日本でも各種のクラウドファンディングがスタートした。2010年代には世界的にクラウドファンディングが拡大したが、中でも中国ではクラウドファンディングが爆発的に普及し、商業分野だけでなく金融分野で大きな存在となっている。

 資金調達額を矢野経済研究所の調査により2017(平成29)年度における日本のクラウドファンディングを通じた資金調達額(新規プロジェクト支援額ベース)を種類別にみると、貸付型が約1,534億円と圧倒的に多く、購入型約100億円、ファンド型約50億円、株式型約9億円、寄付型約7億円がそれに続いている。翌2018(平成30)年度以降については、大宗を占めている貸付型が回収延滞の多発等から失速したが、クラウドファンディングの元になった寄付型や購入型が実績を伸ばしているほか、株式型が投資家から注目されるようになるなど、新たな局面に移行している。

*『最新行政大事典』2019年10月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 長谷川清)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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