霞が関情報
霞が関情報「地方財務」2024年7月号(ぎょうせい)
時事ニュース
2024.08.02
※2024年6月時点の内容です。
霞が関情報
(『月刊 地方財務』2024年7月号)
ローカルガイド活動で議論(観光庁)
観光庁の「地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた有識者会議」(座長・矢ケ崎紀子東京女子大教授)は、特定の地域で観光案内をする「ローカルガイド」に、無理のない形で活動してもらう方策について議論を始めた。インバウンドの拡大などを背景に、地域レベルでどのような取り組みやビジネスモデルが必要か検討する。7月下旬には中間の取りまとめを出す見通しだ。
有識者会議は、人材不足が観光コンテンツのサービス提供にも影響を与えると指摘。今後の取り組みとして
▽初心者でもローカルガイドとして働くことができる環境の整備
▽訪問者の満足度の向上や地域消費の拡大を促すプロフェッショナルなガイドの育成
▽変動する需要に応じて地域側が柔軟に対応できる流動性を持った供給の創出
▽地域のローカルガイドが安心して就労できる環境の整備
──などを挙げた。
このうち、就労環境の整備については、専業・副業など多様な人材に応じた柔軟な改善を訴えている。
同庁は今年3月、観光地域づくり法人(DMO)を対象に、ローカルガイドに関するアンケート調査を実施した。それによると、人材の不足について「感じる」「やや感じる」を合わせた割合は、全体の8割に上った。
人材の確保に苦慮している背景として、ガイドの高齢化や個人にスキルアップを依存している点、地域全体でガイドを支える体制の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されている。地方でガイドビジネスを事業として成り立たせる難易度も高いという。
こども計画でガイドライン(こども家庭庁)
こども家庭庁は、こども基本法(2023年4月施行)で都道府県と市町村の努力義務に位置付けられている「こども計画」のガイドラインを作成した。策定に当たって必要となる基礎事項や留意点、事例を提示。自治体の施策や地域資源、子どもや子育て当事者などの意見を反映して計画を作るよう要請している。
ガイドラインは、計画策定体制として担当部局のほか、庁内検討組織、庁外の協議会が想定されると説明し、庁内組織や協議会について先駆けて取り組んだ自治体の事例を示した。計画策定に当たり、区域内のこども施策と統一性を持って「横串」を刺し、住民に分かりやすくすることが期待されるとした。策定のために必要な主な予算計上の費目なども掲げた。
計画で示される施策の内容は、教育や福祉、都市計画などさまざまな分野と密接に関係するため、関連性や整合性を取るよう求めた。その事例として、都道府県と市町村間に連絡会議を設けているケースも紹介した。
ガイドラインは、こどもや若者の状況やニーズをより的確に踏まえた実効性のある内容にするため、計画の対象となるこどもや子育て当事者らの意見を幅広く聴取して反映させることが必要だとした。意見を反映させることで、社会に何らかの影響を与えて変化をもたらす機会となると説明。自己肯定感や自己有用感、社会の一員としての主体性を高めることにつながると強調した。
こども基本法は、こども・若者の健やかな成長への支援や少子化対策、貧困対策など、幅広い政策に関する基本的な方針と重要事項を一元化した政府の「こども大綱」を勘案し、自治体にこども計画を作成するよう促している。
花粉発生量の半減が目標(林野庁)
政府は、2023年度の「森林及び林業の動向(森林・林業白書)」を閣議決定した。特集として「花粉と森林」を取り上げたのが特徴。花粉の発生源であるスギ人工林について、10年後には約2割減少させ、将来像として、約30年後に花粉発生量を半減させる目標を示した。目標達成のため、伐採・植え替えの加速化や、スギ材の需要拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大といった対策を総合的に推進するとしている。
白書は、第2次世界大戦後、国土保全などの社会的要請から人工林が造成され、スギは人工林の4割を占める主要林業樹種になったと解説。スギ花粉症は1964年に初めて確認され、問題化してきたとしている。
発生源対策として、都市部周辺など人口が多い重点区域での集中的な取り組みによって、伐採や植え替えなどを加速化していく方向性を示した。
花粉の少ない苗木の生産量の拡大にも言及。現状は5割となっている花粉の少ないスギ苗木の生産量を、10年後には9割以上に引き上げる目標を掲げた。