業務知見のDX化で「調べる」を改革!〜「固定資産税DXポータルkopo」〜 『月刊 税』2024年7月号
地方自治
2024.07.16
目次
業務知見のDX化で「調べる」を改革!〜「固定資産税DXポータルkopo」〜
(特集 地方税務行政DX化のミライ 業務改善事例)
朝日航洋株式会社
(『月刊 税』2024年7月号)
朝日航洋は、1976年から現在まで、約50年にわたり取り組んでいる固定資産関連業務で得られた知見と、固定資産税関連事務における優良な書籍や情報をワンストップで提供する「固定資産税DXポータルkopo」(以下、「kopo」)の提供を開始しました。
ブラウザから優良な情報を手軽に閲覧
kopoは、株式会社ぎょうせいの発行する税務関連書籍で定番の「固定資産税実務提要」に加え、「地方税質疑応答集」、総務省通知・通達等を取りまとめた「基本行政通知・処理基準地方自治」、月刊「税」の固定資産税関連記事等が、ブラウザから素早くアクセスできるサービスです。
AIを活用した検索で情報を迅速に入手
単語による通常の検索においては、同義語辞書などの設定により、正式な単語がわからない場合でも検索することができます。同義語辞書は、税務特有の略称など、朝日航洋にて定義・設定しています。AIを使用した検索では、文章を指定することもできます。
判例検索で審査申出等にも対応可能
kopoの標準サービスには、株式会社TKCが提供する判例情報サービス「TKCローライブラリー」の基本サービスセットに、株式会社ぎょうせいの提供する「判例地方自治Web版」が含まれており、良質な情報を自席のパソコンから一括で検索・参照することができます。
過去記事の参照も楽々
月刊「税」は令和2年(2020年)1月号から最新号までの固定資産税関連記事と目次を配信しており、過去の記事を検索・参照しやすくなっています。
年間費用は24万円
導入費用は、固定資産税実務提要の追録購読契約を継続されていれば、1年間1ライセンス24万円でご利用可能です。
導入事例「固定資産税DXポータルkopo」導入による業務効率化と市民サービス向上 ―滋賀県彦根市―
滋賀県彦根市
面積196.87㎢、人口約11万1,000人。滋賀県東北部に位置し、京都からは電車で約1時間。琵琶湖に面しており、彦根城、ひこにゃんが有名。第三次産業が中心で、次点は製造業。歳出予算は464億円余で、市税の近年の課税額は177億円前後で推移。市税の主な構成比は、固定資産税が約42%で最も高く、次いで個人市民税が約33%、法人市民税が約11%、都市計画税が約7%となっている。
彦根市は、人口約11万人の地方自治体である。近年、地方自治体におけるDX化が推進される中、同市も積極的に取り組んでおり、その一環として、固定資産税に関する業務効率化と市民サービス向上を目指して、「固定資産税DXポータルkopo」を導入した。
彦根市におけるkopo導入の経緯、導入後の効果、今後の展望について探ってみる。
1導入前の状況
⑴導入前の課題
彦根市は、固定資産税担当14名、土地・家屋・償却資産・宛名の各担当を2〜4名で運用し、窓口業務などは全員で対応している。従来の情報収集方法は、月刊「税」や「固定資産税実務提要」などの書籍を目視で探すというもので、次の課題があったという。
○情報収集に時間がかかる
特に過去の月刊「税」から欲しい記事を探すのに時間がかかり、目次を手入力でデータ化して整理するなどの工夫をしていたが、記憶をたどって探すため、見つからない。
○資料の共有に手間がかかる
探していた記事を見つけて他の人に共有したい場合、回覧や配布をする必要がある。
○担当者による知識の差
担当者によって情報収集能力に差があり、属人化の懸念がある。
○市民への説明不足
十分な知識がなく市民に誤った説明を行う可能性がある。これらの課題は、職員への負担となり、市民サービスの質の向上を望むのは難しい状況であった。
⑵情報収集にかかる時間
彦根市では、週に1回程度情報収集を行う必要が生じており、特に3年に一度の評価替えの年は、情報収集の件数が増加する傾向に。1つの案件にかかる時間は、案件の内容や担当者の情報収集能力によって異なるが、古い情報になると、探すのに1時間以上要することや、見つからないこともあったという。
2導入に至るまで
彦根市では、「自治体運営のDX推進」として、デジタル技術を活用し、業務を見直し、効率化・迅速化等の改革を行うことで、働き方・業務改革を実現し、業務の効率化、ワークライフバランスや行政サービスの向上を目指していた。kopoはDX推進の市の方針と合致。
そのため、導入に至るまでは、特に大きな課題もなく進めることができた。トライアルとして無償で利用できる期間もあり、有効性を事前に確認できたため、スムーズに導入することができたという。
3導入後
⑴kopo導入による変化
kopoを導入することで、彦根市の固定資産税業務は次の点が変化したという。
○情報収集の迅速化
AIを活用したあいまい検索が可能になり、探す時間が大幅に短縮された。過去の月刊「税」の特集記事を参照したい事例が多く、その際も記憶をたどる必要が無く、検索により必要な情報に素早くアクセスできるようになった。
○資料の共有の容易化
検索結果をURLで共有できるので、紙資料を渡す必要がなくなり、複数人で同じ情報を確認することができるようになった。
○担当者による知識の平準化
kopoを誰でも利用できるため、担当者による情報収集能力の差を縮小することが可能となった。引継ぎの際にも、kopoにより知識の底上げを実現した。
○市民への的確な説明
kopoで正確な情報を迅速に収集できるため、市民への説明がより的確なものになった。
⑵具体的な効果
○情報収集にかかる時間の短縮
1つの案件にかかる情報収集時間は、平均で10〜15分程度に短縮された。
○検索件数の増加
kopo導入前は1人あたり週1件程度だった情報収集件数が、導入後は週5件程度に増加。これは、kopoが使いやすいことや、必要な情報にすぐにアクセスできることから、職員が積極的に情報収集を行うようになったためと考えられる。
これらの効果により、業務効率が大幅に向上し、彦根市におけるkopo導入は、大きな成功を収めている。
⑶期待される効果
○市民サービスの向上
kopoで正確な情報を迅速に収集できるようになったため、市民からの問い合わせに対して的確な回答ができるようになる。
○職員の満足度向上
必要な知識がすぐに得られるため、納税者の問い合わせに対応する負荷が低減され、職員の満足度の向上が見込まれる。
⑷導入成功のポイント
次のポイントがkopo導入の成功要因であろう。
○従来より業務のDX化を推進していたためkopo導入による業務の効率化が、市の方針と合致していたこと。
○紙媒体の書籍を用いての情報収集では時間がかかり、また、書籍の確認漏れが生じるなどの懸念があることから、職員は情報収集に対し負担を感じていた。kopoの導入により、情報収集時間が短縮され、また網羅的な検索ができることから、職員の負担軽減につながった。
4今後の展望
彦根市では、今後もkopoを有効活用し、固定資産税業務のさらなる効率化と市民サービスの向上を目指していくという。その具体的な取組みとして次のものを挙げている。
○kopoの利用促進
職員向けにkopoの活用事例を共有したり、説明会を開催したりすることで、kopoの利用を促進していく。
○kopoの機能拡充
朝日航洋株式会社と連携し、kopoの機能拡充やコンテンツ追加を要望。具体的には、生成AIによる自動回答機能や、配信書籍の追加、対応事例の要望等を求めていく。
○継続的な改善
kopo導入後も、職員から意見を聞きながら、kopoの利用方法を改善し続けていく。具体的には、これまで担当者に任せられていた対応事例や改善事例、課題などの共有を図っていく。
5まとめ
kopo導入により、彦根市は固定資産税業務の効率化と市民サービスの向上を実現することができている。他自治体におかれても、kopoの導入を検討してみてはいかがだろうか。
<問合せ先>
朝日航洋株式会社自治体アセット事業部
資産R&D室
TEL:049-238-4042
E-mail:j-asset@aeroasahi.co.jp
固定資産税DXポータル kopo
https://www.aeroasahi.co.jp/spatialinfo/system/kopo/