連載 コミットメント ── 他責から自責文化の自治体職員 第6回 ポジティブなら大体OK!【渋谷浩史(静岡県職員)】
地方自治
2021.11.04
本記事は、月刊『ガバナンス』2016年11月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会の修了生(マネ友)のメンバーがリレー形式で執筆します。
ポジティブなら大体OK!
本コラムの題名を見て、自分自身、「他責」という言葉にピンと来なかった。私は、自分で決めて、自分でやらないと気が済まないからだ。壁に当たるとロボット掃除機のルンバみたいに行けそうな道を模索するのが当たり前。まさに「自責」タイプだからかもしれない。そもそも、自分がやってきた仕事を振り返ると、静岡県CDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)やリーマンショック後の雇用対策、初の行政職の高校教育課長など、自責を求められるミッションばかりであった。
そこでは、金がないならマンパワーと知恵で、人がいないなら自分の手で、進まないならキーマン頼みとか、成果への道を模索しまくる日々である。解決に向かって、パズルを解くようにあれこれ模索することが楽しいのだ。こんがらがっていたものが、目論見通りの成果を達成できると痛快である。関係者の褒め言葉や感謝は、やり甲斐に変わっていく。
考えてみれば、自責を貫いている人ほど、達成感や成功の喜び、高い成果への満足度は高くなる。自責の方がお得なのである。自責タイプは、自分で考え、模索し、成功を喜ぶ、失敗から学ぶという経験で育成される。そして自責文化とは、そうしたポジティブモチベーションのベクトルの集まりなのだ。
一方で、 マニュアル依存、指示待ち、枠を出ないという考えは、他責方向のベクトルである。そう言えば、今の若手はマニュアル人間が多いと言われる。他責でいると安心だし、ストレスも少ない。それで成長できるのかと気付かせ、ベクトルを自責方向に向けるのが、自責文化へのマネジメントである。おっと、ここからが、やっと本題なのに字数がなくなってしまった。
本コラムが、尻切れトンボとなったことには、「自責」の念で一杯である。まあ、このコラムを逆読みしていただければ、ヒントはあると思うので、自責で考えてほしい。そして私は、今日もまた、「ポジティブなら大体OK!」などと呟きながら、パズルに挑戦し続けるのである。
(静岡県職員/渋谷浩史)