連載 vol.24「つながる」力 事業をともに考え、ともに汗をかき、ときにはともにリスクを負う。そうした人のつながりが何より大切 【鵜篭博紀〈うかごひろき〉(鳥取・米子市職員)】
地方自治
2021.12.20
本記事は、月刊『ガバナンス』2016年3月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
事業をともに考え、ともに汗をかき、ときにはともにリスクを負う。そうした人のつながりが何より大切
地域活性化──。本誌の読者なら、なんとなくざわつくワードではないだろうか。それを冠に掲げた、「地域活性化センター」に出向させてもらったのは、まだ、二つの部署しか経験がない時だった。2年間、全国各地でがんばっている皆さんに直に会い、お話しさせていただく中で、自分でも取り組んでみたいと勇気をもらうことができた。人のつながりが何かを生み出し、大きなうねりとなってゆくのも目の当たりにした。
地元に戻って、早速、動き出した。仕事関係の会合はもちろん、商店街の寄り合いや起業家育成塾、子育てサークル、障がい者支援の場と幅広く顔をだし、意見をだして、それぞれの活動を盛り上げようとした。ところがどうもうまくいかない。なぜだか何も進まなかった。とてもいい意見のはずなのに……。
その原因を自分で気づくまでに少し時間がかかった。そう、私は、評論家になっていたのだった。全国であまりにも凄い事例を見てきたことで「こうしたほうがいい」「ああしたほうがいい」と地元のニーズやその人たちに合っていないことまで押し付けていたのだった。そのため、勘違いしていた私の意見に耳を傾け、つながろうとしてくれる人は現れなかったのである。
そこからは、自分にできることをみつけ、まずは汗をかくことにした。意識を変えてからは不思議、不思議、芋づる式につながりが増えていった。足りないピースの人材がいつの間にか現れたり、求めていた情報が集まるようになった。当然、仕事もやりやすくなった。
現在は、産業振興を図る部署におり、地元企業との協力・連携が不可欠だが、その中でも、やはり人のつながりが一番大切だ。事業をともに考え、ともに汗をかき、ときにはともにリスクを負いながら進めている。そうしたつながりの中から生まれた事業構想が、この度、新会社として実現することになった。傍目には、6社の共同出資で終わりだろうが、私には、惑星直列のような奇跡の人のつながりに思えてならない。
(鳥取・米子市職員/ 鵜篭博紀〈うかごひろき〉)