行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―ソーシャル・キャピタルとは

地方自治

2020.09.13

【最新行政大事典】用語集―ソーシャル・キャピタル

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第7章 財政・予算」から、「ソーシャル・キャピタル」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

1. ソーシャル・キャピタルとは

 「社会関係資本」と訳されることが多い。我が国で直訳の社会資本というと、道路などの社会基盤を指しハードの整備がイメージされるため、関係という言葉を挿入している。

 ソーシャル・キャピタルが幅広く知られることになるのは、アメリカ、ハーバード大学教授のR.パットナムの「哲学する民主主義」(原題”Making Democracy Work“1993年)、それに続く「孤独なボウリング」(原題“Bowling Alone“2000年)からである。 パットナムは、「哲学する民主主義」において『ソーシャル・キャピタルとは、人々の協調行動を活発にすることにより社会の効率性を高めることのできる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴。ソーシャル・キャピタルが豊かになれば、人々は互いに信用し、自発的に協力することになり、民主主義を機能させる鍵となる。』と定義づけしている。

 また、OECDも『グループ内又はグループ間の協力関係を促進する規範、価値観、理解力を相互に共有するネットワーク』としている。

2.日本におけるソーシャル・キャピタル

 今の社会で置き換えてみると、「地域力」、「住民力」、「人間の絆」といった言葉がイメージしやすい。そして、そのソーシャル・キャピタルへの関心が高まった背景には、我が国の自治体で地域分権について真剣に議論しようとした時期であり、住民とのパートナーシップを模索した時期でもあった。

 そこに東日本大震災が起こり、住民自ら災害の復興に立ち向かう時期でもあった。

 住民同士が連携した働きかけと、協力し合って活動することにより、災害時の危機を切り抜け、効果的で効率的な復興に取り組むための地域が持つ力を回復能力(レジリエンス)と言うが、その力を引き出すことに寄与するのがソーシャル・キャピタルである。

3.ソーシャル・キャピタルの類型

 ソーシャル・キャピタルの類型として、

〔1〕結束型ソーシャル・キャピタル(Bonding Ties)

  強い絆で結ばれた家族、親友、近隣住民など、共通の価値観を共有する同質的個人関係(Strong Ties)。

〔2〕橋渡し型ソーシャル・キャピタル(Bridging Ties)

  ある集団やネットワークのメンバーと、その外部にあるネットワークメンバーとの関係。経験、価値観、背景を異にする個人関係(Weak Ties)

〔3〕連結型ソーシャル・キャピタル(Linking Ties)

  社会における様々な権力を超えて交流する人々の信頼関係によるネットワーク。一般市民と権限を持つものを結ぶ関係。民主的で権限付託的な交流により成立。災害直後や復興初期段階の救援などに特に重要である。

 これら類型のうち、

 〔1〕共益的な活動を行う市民組織よりも、多様な人々が参加して公益的な活動を行う目的志向的な市民組織(ブリッジング型)のソーシャル・キャピタルの熟成度が高いと言われている。

 〔2〕ボンディング型のソーシャル・キャピタルには排他性などの危険性も潜在するため、外部の人や組織とも信頼関係を構築して、多様性を受け入れるブリッジング型のソーシャル・キャピタルを育成することが重要と指摘されている。

*『最新行政大事典』2019年10月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 石田義明)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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