行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―健全財政とは

地方自治

2020.09.12

【最新行政大事典】用語集―健全財政

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第7章 財政・予算」から、「健全財政」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

健全財政

 地方公共団体の健全財政については、地方財政法(昭和23年法律第109号)第1条は、「この法律は、地方公共団体の財政の運営、国の財政と地方財政との関係等に関する基本原則を定め、もって地方財政の健全性を確保し、地方自治の発達に資することを目的とする。」と規定している。

 また、同法第2条第1項には、地方財政運営の基本として、「地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない。」と規定し、また、同条第2項では、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に対する負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とし、地方公共団体の財政の健全性を保持すべき国の義務を規定している。

 ここで地方財政法が規定する地方公共団体の「健全財政」とは、次の3つの条件の具備を意味すると考えられている。

 第1の条件は、財政運営の「堅実性」、具体的には、その公共団体の財政収支とその推移が均衡のとれたものであることである。財政収支の見方には、形式収支、実質収支、単年度収支もしくは実質単年度収支等いろいろな見方があるが、少なくとも毎年度の財政の実質収支が均衡のとれた状態で運営されていることが必要である。これを根本としながら、長期にわたる財政収支が均衡のとれたものにする努力が払われ、その中で、行政水準の維持向上が図られている状態を「堅実性」が維持されているという。

 第2の条件は財政構造(体質)の「健全性」である。この条件の具備を検証することは、その団体の財政が、経済変動や財政需要の増嵩に堪えうるだけの体質を持っているかどうかを検証することであり、その構造が弾力性を具備しているかどうかという問題意識である。

 第3の条件は、「適正な行政水準の確保」という視点である。住民の要望には、ある意味では限度がないが、その要望に応えていくための財源には限度がある。住民の行政需要に応えつつ、行政水準を漸次向上させ、併せて健全な(収支の均衡がとれた)財政運営を続けていくことは、地方公共団体の基本的な責務である。

*『最新行政大事典』2019年7月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 石田義明)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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