
【特別企画】外注と内製をどう使い分ける?自治体DXを前進させる帳票業務改革
NEW地方自治
2026.06.30
目次
★この記事は、月刊「ガバナンス」2026年7月号に掲載されています。本誌はこちらからチェック!

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外注と内製をどう使い分ける?自治体DXを前進させる帳票業務改革
昨今、自治体業務においては、人手不足や人件費高騰の影響から、これまで外部委託していた帳票処理業務の継続が難しくなるケースが増えているという。一方で、オンライン申請が普及しつつあるものの、一部では書類をコピーして手入力する業務も依然として残っており、紙帳票の効率的なデータ化は大きな課題となっている。こうした状況の中で注目されているのが、AI-OCRを活用した帳票業務の内製化である。本企画では、自治体DXを支援してきた㈱日本政策総研の若生幸也さんと、数多くの自治体で採用されているAI-OCRソフトウェア「DynaEye」を提供する㈱PFUの村上忠夫さんに、外注と内製の適切な使い分けをはじめ、自治体DXを前進させる帳票業務改革のあり方や、自治体におけるAI-OCR活用の可能性について語ってもらった。

(左から)(株)PFU ビジネスプロダクト販売推進部部長・村上忠夫さん、
(株)日本政策総研専務取締役・若生幸也さん
自治体業務における今日的課題
若生 近年、自治体業務に新たな課題が見えてきました。第一に住民ニーズの多様化。例えば、高齢者の増加によって説明時間が増えたりします。第二に、人手不足。職員数が減り少人数で多くの業務を遂行しなければならない状況が増えてきました。第三に、デジタル移行への問題。オンライン申請が進んではいるけれど、それを印刷して紙を横目にパンチ入力する非効率な業務がいまだに残っています。特に業務のデジタル化については、外注と内製のバランスが問題になっています。外部委託については負担軽減に有効ですが、人口規模が大きい自治体に限定される傾向があります。外部委託は締日を過ぎた短期間での機動的な対応が難しくなります。一方、急ぎの業務では、内製化して機械化する、そういった取組みが効率的です。このように業務内容や人的リソースなどを勘案して、外注か内製かを検討することが必要です。

㈱日本政策総研専務取締役・若生幸也さん
AI-OCRが変える帳票データ化
若生 これからはオンライン申請できる状態を増やすことが第一ですが、紙からデータ化せざるを得ないものは、パンチ入力を減らす工夫が必要です。その際に高精度のAI-OCRで正確にスキャンできる環境を整えることが有効です。
村上 そうですね。帳票を利用可能なデータにするためには、いかにミスなくできるかが重要だと思います。OCRは従来から手書きの認識精度が課題でしたが、ここ数年のAIの進歩により、現在のAI-OCRは、業務に支障ないレベルまできています。さらに私どもの「DynaEye」では、外部ネットワークとの接続がなく、PC上でOCR処理を完結するオンプレミス型なので、個人情報や機密情報を大量に扱う現場でも安心して使っていただけます。
若生 オンプレなら安全な上、小回りが利くメリットもありますね。クラウドに馴染みがない自治体には、まずオンプレで導入してみるのが取り掛かりやすいと思います。
村上 そうですね。DynaEyeでは、PC画面に帳票のイメージ、OCRの結果、読込部分を切り出したイメージを並べて表示でき、帳票とデータの見比べも目線の移動を少なくした設計になっています。
若生 最後は目検も重要ですからね。ミスを減らすためのシステム上の工夫は大切です。

生成AIとAI-OCRの違い
村上 よく生成AIとAI-OCRの違いを訊かれるのですが、生成AIは予め出来上がったデータを類推しながら解を導いていく使い方をします。一方でAI-OCRは正確なデータを作るために使うものです。
若生 そう。生成AIはしれっと嘘をつくんですよ(笑)。認識できないことも類推して答えてくるので、目検でミスが見つけにくいということもある。一方、AI-OCRは、認識できないことは正直に「わからない」と示してくれます。その方が、目検でチェックしやすい。正確なデータをつくるためのプロセスをもっているのがAI-OCRなんですね。
小規模自治体における導入のメリット
村上 小規模の自治体様ですと、例えば、給与支払報告書のような特定の時期に短期集中で行わなければならない業務は、母数が少ないと外注しづらいという実態があります。また、住民の方が、期限を超えて提出されるものもあって、これも負担になります。弊社では、給与支払報告に特化したAI-OCRも提供しており、これは庁内の税務システムにも連携でき、随時の対応もできるといった既存の業務環境の中で活用できるソフトとなっています。
若生 小規模自治体であっても、紙の業務をいかにスムーズにデータ化するかは重要で、AI-OCRは、その機動性においても有効なツールだと思います。ただ、そのための環境整備は必要で、例えば、帳票の項目を精選したりレイアウトを工夫したりして、いかに読取りのための最適化を図るかが大事ですね。

㈱PFU ビジネスプロダクト販売推進部部長・村上忠夫さん
帳票データ化を成功させるポイント
村上 内製化においては、職員の方がいかに負担なく日々の業務として継続的に使いこなせるかが、ポイントになります。弊社が提供させていただいているイメージスキャナーは、異なるサイズの紙をまとめて混載が可能で、くしゃくしゃになった紙でもきちんとデータ化できるのが強みです。紙の電子化の部分では、業務用の専用スキャナーをあわせてご利用いただくことで、AI-OCRのパフォーマンスもより安定するといえます。自治体職員の方々からは、「これまでの入力業務から点検業務だけですむようになり、住民サービスに時間が割けるようになった」などの声を聞きます。本来業務に注力できることが我々のソフトの価値と思っています。
若生 私は内製化のポイントは、「面倒くさい」と感じることを大事にすることだと思っています。日々の業務に追われて段々と不便に慣れてしまっては見直しができません。当初感じた面倒くさい」を出発点にして、支援してくれそうな内外の人材を探して、一緒に知恵を出しながら改善することが大事です。協働して問題解決できる環境を職場につくることが重要ですね。
DXに向けた初めの一歩を
村上 AI-OCRが支援できる主な部分は、紙をデータ化したり、それを活用できるようにするといった入り口業務です。それでも「負担が軽減された」「データの扱いが便利になった」と、手応えを感じていただいています。まずこれを体験いただきたいと思っています。
若生 DXの唯一の指標は、いかにパンチ入力を減らすかにあります。手入力をなくし、ミスなく効率よく業務を行うためにAI-OCRというソリューションが課題に応えてくれると思います。まずは「面倒くさい」を大切にして、次なる一歩に踏み出してほしいと思います。
手入力・目視確認が伴う庁内の事務処理業務をAI-OCR利用で60%効率化
――導入前に抱えていた課題は何でしたか?
庁内DXにあたり「紙のデータ化」が急務でした。特に健康福祉課では問診票等の手入力や目視確認に多大な時間と手間がかかり、繁忙期の職員の精神的・体力的負担が大きな課題でした。
――PFU社の製品を選定した決め手は何ですか?
セキュリティを担保できるオンプレミス型である点と、枚数制限がなく読み取り放題のため業務展開がしやすい点です。また、スキャナーの紙詰まりしにくい安定性や省スペース性も現場で高く評価されました。
――導入後、どのような効果や成果がありましたか?
データ入力時間を最大60%削減するなど業務時間を大幅に短縮できました。また、自動仕分けによるPDF化で自席からの書類検索が可能になり、検索性が向上しました。負担軽減により職員の心に余裕が生まれ、前向きに業務改善を考える意識の変化も起きています。
――今後の展望について教えてください。
今後はRPAとの連携による自動化や、他部署への横展開を進めます。将来的にはオンライン申請なども視野に入れ、市民サービスの向上と「日本一紙の少ない自治体」の実現を目指します。
石川県かほく市の実証実験レポートはこちら
▼自治体での活用方法をご紹介
https://www.pfu.ricoh.com/fi/case/municipality/

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【企画提供】
株式会社PFU
横浜市西区みなとみらい4-4-5(横浜アイマークプレイス)
URL:https://www.pfu.ricoh.com/
★この記事は、月刊「ガバナンス」2026年7月号に掲載されています。本誌はこちらからチェック!

月刊 ガバナンス 2026年7月号
特集1:ルーティンワークをアップデートしよう。
特集2:始めてみませんか?グラフィックレコーディング 編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,320 円(税込み)
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